矯正にどれくらいかかるのかを調べている。1〜3年という数字は見つかるけれど、幅が広すぎて自分の場合が分からない。
そういう状態でこのページに来た方が多いと思います。
幅が広いのには理由があります。期間を決めているのは装置ではなく、動かす距離だからです。そして距離を稼ぐ速さには、物理的な上限があります。
1ヶ月に動かせるのは、最大1mmほど
公開されている解説では、こう説明されています。
「1ヶ月の移動距離は物理的に最大1mmほど」
矯正は、歯に力をかけて周りの骨を作り替えながら動かす治療です。骨の作り替えには時間がかかるため、速さに上限があります。速く動かそうとすれば、歯を支えている骨や歯の根を傷めます。
ここから、期間の見方が変わります。
期間 ≒ 必要な移動距離 ÷ 1ヶ月あたり約1mm
装置の性能で短くなるものではなく、動かす距離が決まれば、必要な月数もおおよそ決まります。
距離の目安を当てはめてみる
当サイトで扱ってきた数値を、この式に入れてみます。
| 必要な移動 | 距離の目安 | 距離だけで見た月数 |
|---|---|---|
| 抜歯をせずに口元を下げる | 2〜4mm程度 | 数ヶ月 |
| 抜歯1本分の隙間を閉じる | 7〜8mm | 7〜8ヶ月以上 |
抜歯を含む治療が年単位になる理由が、ここで数字として見えます。 隙間を閉じるだけで7〜8ヶ月かかり、そこに並びを整える動きや噛み合わせの調整が加わります。
抜歯後の隙間を閉じる工程が期間の大半を占めることは抜歯矯正で抜くのはどの歯?期間の大半を占める「隙間を閉じる工程」で、抜歯をしない場合に下げられる量の上限は非抜歯矯正の後悔はいつ出る?口元を下げられるのは平均2〜4mmという上限で扱っています。
公開されている期間の目安は次のとおりです。
| 期間の目安 | |
|---|---|
| 部分矯正 | 2ヶ月〜1年程度 |
| 全体矯正 | 1〜3年程度(マウスピース矯正では1〜2年程度とされることもあります) |
部分と全体で差が出るのも、扱う範囲が違えば動かす量が違うからです。この2つは範囲の大小ではなく扱う対象が違うという点は部分矯正と全体矯正の違いは範囲ではない|「見た目」と「噛み合わせ」で分かれるで扱っています。
「装置を外すまで」は、全体の半分
期間を考えるときに抜けやすい点です。
動かし終えたあとには保定期間があります。目安は動かしていた期間と同じくらいとされているため、装置を外した時点は折り返しにあたります。
この構造は歯科矯正の流れを「いつまで引き返せるか」で見る|装置を外して終わりではないで扱っています。
「2ヶ月で終わる」といった数字を見るときは、それが動かす期間なのか、保定まで含めた期間なのかを確認してください。多くの場合、前者です。
期間が延びる経路は2つある
同じ「期間が長い」でも、性質の違う2つがあります。
① 診断の時点で長い。 動かす距離が大きい場合です。抜歯を含む、骨格に関わる、範囲が広いといった条件で決まります。これは自分では変えられません。
② 途中で延びる。 公開されている解説では、次が挙げられています。
- 虫歯や歯周病による治療の中断
- 通院スケジュールの延期
- マウスピースの装着時間の不足(20時間未満)
こちらは自分で左右できます。
見積もりで示される数字は、①だけを見たものです。②は、そこに後から加算されます。「予定より延びた」と感じる多くは②の側で起きます。
「早く終わらせる」と「延ばさない」は違う
ここは区別しておくと、期待がずれません。
公開されている解説では、期間を短くするポイントとして、セルフケアで虫歯・歯周病を防ぐこと、通院とスケジュールを守ること、装着時間を守ること(20時間以上)、症例に合った方法を選ぶことが挙げられています。
中身を見ると、前の3つは「計画どおりに進めるための条件」です。装着時間を守っても、予定より早く終わるわけではありません。守らなければ延びる、という関係です。
短くなりうるのは4つめ、つまり診断の段階で方法が決まるときだけです。裏を返せば、期間を左右できる余地の大半は治療を始める前にあります。
始まってからできるのは、延ばさないことです。
マウスピース矯正で装着時間が結果に効く仕組みはインビザラインとは?1枚で動くのは0.25mm、枚数が治療の規模を決めるで扱っています。
通院先を大宮周辺で検討する場合は、通いやすさも判断材料になります。年単位で通うことになるため、実際的な条件です。なお通院の頻度は医院の方式によって差があり、来院を最低1回※からとしている方式もあります。
※通院回数は治療内容・個人の状態により異なります
よくある質問
早く終わる装置はありますか?
装置によって多少の差はあるとされていますが、1ヶ月に動かせる距離に上限がある以上、距離が同じなら大きくは変わりません。
装置ごとの期間の幅は、その装置が扱える症例の範囲を反映していることがあります。範囲が広い装置ほど、難しい症例を含むぶん幅も広くなります。
見積もりより早く終わることはありますか?
あります。計画より歯の動きがよい場合や、当初の想定より調整が少なく済む場合です。
ただしそれを見込んで計画を立てることはできません。見積もりは、そうならなかった場合も含めた数字として受け取っておくほうが安全です。
途中でやめたら、その分だけ短くなりますか?
途中でやめた場合、動かしかけの位置で止まります。短く終わったのではなく、途中で終わったことになります。
抜歯を伴う治療の場合、隙間が残った状態で止まることもあります。中断を考えるときは、その時点で何が残るのかを確認してください。
保定はどのくらい真面目にやるものですか?
動かした歯は、放っておけば元に戻ろうとします。保定はその力を抑えるための期間なので、ここを省くと、それまでにかけた期間が結果に結びつきません。
やめ方についても段階があります。詳しくはリテーナーはいつまで?「やめる」のではなく段階的に減らしていくもので扱っています。
まとめ
矯正期間を決めているのは装置ではなく、動かす距離です。そして「1ヶ月の移動距離は物理的に最大1mmほど」とされており、速さには上限があります。
だから期間は、必要な移動距離 ÷ 1ヶ月あたり約1mmという形でおおよそ決まります。抜歯1本分の隙間は7〜8mm、抜歯をせずに口元を下げられるのは2〜4mm程度。抜歯を含む治療が年単位になる理由は、この距離の差にあります。
目安としては部分矯正が2ヶ月〜1年程度、全体矯正が1〜3年程度とされています。ただし装置を外した時点は折り返しで、そのあとに動かしていた期間と同じくらいの保定が続きます。
期間が延びる経路は2つあります。①診断の時点で長い(距離が大きい。自分では変えられない)と、②途中で延びる(虫歯や歯周病による中断・通院の延期・装着時間の不足)。見積もりは①だけを見た数字で、②は後から加算されます。
そして「早く終わらせる」と「延ばさない」は違います。短くなりうるのは診断の段階で方法が決まるときだけで、始まってからできるのは延ばさないことです。期間を左右できる余地の大半は、治療を始める前にあります。
自分の場合に何mm動かす計画なのかは、検査を受ければ分かります。検査とカウンセリングを無料で受けられる医院であれば、費用をかけずにその確認から始められます。