歯医者では歯並びをほめられる。矯正の相談に行っても「きれいに並んでいますね」と言われる。それなのに、横から見ると口元が出ている。
そういう状態でこのページに来た方が多いと思います。
矛盾しているように見えますが、矛盾していません。この2つは別のものを見ているからです。
「並び」と「前後の位置」は別の軸
歯並びの評価は、歯が重なったりねじれたりせず、きれいに並んでいるかを見ています。
口ゴボは、歯列全体が前後どの位置にあるかを見ています。
| 見ているもの | |
|---|---|
| 歯並び | 並びの乱れ(重なり・ねじれ・すき間) |
| 口ゴボ | 前後の位置(口元が前に出ているか) |
きれいに並んだ歯列が、そろって前に位置している。 これが「歯並びが良いのに口ゴボ」の正体です。並びの評価としては問題がなく、位置の評価としては前に出ている。両方が成り立ちます。
なぜ歯の位置が顔の印象になるのかという仕組みは歯の矯正で顔は変わる?変わるのは「唇の支え」で、骨格は変わらないで扱っています。
「歯並びが良い」は、手がかりになる
ここが実用的な点です。
歯並びが整っているという情報は、原因の候補を減らします。並びの乱れが原因ではないと分かるからです。
公開されている解説では、歯並びが良いのに口ゴボになる原因として6つが挙げられています。
| 原因 | 何の問題か | |
|---|---|---|
| ① | 上あごの過成長 | 骨格 |
| ② | 下あごの劣成長 | 骨格 |
| ③ | 上下顎前突(上下のあごがともに前に突き出している) | 骨格 |
| ④ | 上顎前突(上のあごだけが出ている・上の前歯が前向きに倒れている) | 骨格・歯の傾き |
| ⑤ | 唇や鼻の下の皮膚の厚み | 軟組織 |
| ⑥ | アデノイド肥大(鼻の奥の組織が大きい) | 気道 |
①〜④は骨や歯の位置の話、⑤は唇や皮膚そのものの厚みの話、⑥は鼻の奥の話です。性質がまったく違います。
矯正の守備範囲は、このうち①〜④だけ
正直に書いておきます。
公開されている解説では、①〜④について「軽度〜中度の口ゴボは歯科矯正で治める可能性がある」とされ、重度の場合は外科矯正が必要とされています。
一方、⑤と⑥は違います。
- 唇や皮膚の厚み——「美容整形が必要」とされています。歯を動かしても、唇そのものの厚みは変わりません
- アデノイド肥大——医学的な管理や手術の検討が必要とされる領域です
つまり、原因が⑤や⑥にある場合、矯正では変わりません。当サイトはマウスピース矯正を扱っていますが、この2つは守備範囲の外です。
これは重要な分かれ目です。歯を動かす治療を受けて、口元が変わらなかったという結果になりうるからです。
①〜④の場合、必要なのは「並べる」ではなく「下げる」
原因が骨格や歯の位置にある場合でも、治療の中身は普通の矯正とは違ってきます。
並びは既に整っているので、並べる必要がありません。 必要なのは、歯列全体を後ろに下げることです。
そして下げるには、下げた先に空間が要ります。ここでスペースを作る話が出てきます。抜歯をせずに作れる量には上限があり、口元を下げられるのは平均2〜4mm程度が目安とされています。この上限は非抜歯矯正の後悔はいつ出る?口元を下げられるのは平均2〜4mmという上限で扱っています。
上下顎前突では、上下で4本を抜歯する計画になることがあります。この場合の変化量は大きく、今度は下がりすぎという別の問題が出ることがあります。その構造は抜歯矯正は口元が引っ込みすぎる?下がる量は連続ではなく「2つの帯」に分かれるで扱っています。
原因のタイプごとに治療法と抜歯の要否がどう変わるかは口ゴボは矯正で治る?原因のタイプ別に治療法と抜歯の要否を解説で整理しています。
相談のときに聞くこと
「歯並びは良いですね」で終わってしまうと、こちらの相談が始まりません。
聞き方を変えると噛み合います。
「歯並びではなく、口元が出ているのが気になっています。原因はどこにありますか」
そのうえで、骨格なのか、歯の位置なのか、唇や皮膚の厚みなのかを確認します。この切り分けができれば、矯正の範囲内かどうかが分かります。
横顔の位置関係を測る目安としてEラインがありますが、これは基準ではなく目安です。理想的な位置は骨格によって一人ひとり違います。この点はEラインとは?基準の数値と、矯正で変わる部分・変わらない部分で扱っています。
通院先を大宮周辺で検討する場合は、通いやすさも判断材料になります。なお通院の頻度は医院の方式によって差があり、来院を最低1回※からとしている方式もあります。
※通院回数は治療内容・個人の状態により異なります
よくある質問
自分で原因を見分けられますか?
見た目からの判断には限りがあります。骨格の位置関係はレントゲンで測られるもので、唇の厚みが影響しているかどうかも、骨の位置と合わせて評価されます。
ただし「歯並びは整っている」という情報自体が候補を絞ります。並びの乱れが原因ではないという前提で相談すると、話が早く進みます。
矯正をすすめられましたが、受けて変わるでしょうか
原因がどこにあるかによります。骨格や歯の位置が主な原因であれば変わりえますが、唇や皮膚の厚みが主な原因であれば、歯を動かしても口元の印象は大きく変わりません。
「何mm下がる計画か」と「その変化で自分の気になっている部分が変わるのか」を、始める前に確認してください。
部分矯正で口元を下げられますか?
一概には言えません。並びが整っているのであれば並べる必要はなく、必要なのは下げることです。下げるには下げた先の空間が要るため、範囲を限ると空間を作りにくくなります。
範囲をどこまでにするかは診断で決まります。
治療しないという選択もありますか?
あります。口元の印象をどう扱うかは本人が決めることです。
ただし、原因が⑥のように気道に関わる場合は、見た目とは別の観点があります。見た目の相談として始めても、確認しておく意味はあります。
まとめ
歯並びが良いのに口ゴボになるのは、「並び」と「前後の位置」が別の軸だからです。きれいに並んだ歯列が、そろって前に位置している状態がありえます。
そして「歯並びが整っている」という情報は、原因の候補を減らす手がかりになります。並びの乱れが原因ではないと分かるためです。
公開されている解説では、原因として6つが挙げられています。上あごの過成長、下あごの劣成長、上下顎前突、上顎前突という骨格や歯の位置の問題に加え、唇や皮膚の厚み、そしてアデノイド肥大です。
このうち矯正の守備範囲は前の4つで、軽度〜中度であれば矯正で対応できる可能性があるとされています。唇や皮膚の厚みが原因の場合、歯を動かしても唇そのものの厚みは変わりません。 アデノイド肥大も別の領域です。
原因が骨格や歯の位置にある場合、必要なのは並べることではなく下げることです。下げるには空間が要り、抜歯をせずに下げられるのは平均2〜4mm程度が目安とされています。
相談では「歯並び」ではなく「口元が出ているのが気になる。原因はどこにあるか」と聞いてください。切り分けができれば、矯正の範囲内かどうかが分かります。検査とカウンセリングを無料で受けられる医院であれば、費用をかけずにその確認から始められます。