矯正をすると顔が変わる、という話をよく見かけます。良い方向の話も、そうでない話もあります。
期待もあるし、不安もある。どちらにしても、実際に何がどう変わるのかがはっきりしないまま情報だけが増えていきます。
この記事では、変化の仕組みをひとつに絞って説明します。そこが分かると、変わる部分と変わらない部分が自分で判断できるようになります。
変わるのは歯そのものではなく、「唇の支え」
矯正で動かせるのは歯の位置です。ただ、歯そのものは口を閉じていれば見えません。
では、なぜ顔の印象が変わるのか。
前歯が、唇を内側から支えているからです。
唇は自力で形を保っているわけではなく、その裏側にある前歯に支えられています。前歯が前に出ていれば唇も前に押し出され、前歯が後ろに下がれば唇もそれに沿って下がります。
つまり、顔の変化として現れているのは、歯の移動そのものではなく、唇の位置の変化です。
公開されている解説でも、顔つきが変わる理由として「前に出ていた歯が後ろに下がり、口元がすっきりと整う」「歯に押されて盛り上がっていた唇も自然と内側に収まる」と説明されています。
この一点が分かると、あとは整理できます。唇が支えられている範囲は変わり、それ以外は変わりません。
変わる部分と、変わらない部分
| 変わりうる | 変わらない |
|---|---|
| 口元の突出感(唇の前後の位置) | 顎の骨の大きさ・位置 |
| 口の閉じやすさ | 鼻の形・高さ |
| 横顔のライン(口元まわり) | 目のまわり |
| 唇の見え方 | 頬骨、エラの骨そのもの |
右側はすべて骨格の話です。矯正は歯を動かす治療なので、骨そのものの形は変えられません。
よく聞く「矯正で小顔になる」「エラが引っ込む」といった話は、この右側に関わります。骨の大きさが変わるわけではないので、期待の置きどころとしては正確ではありません。
もし顎の骨の位置そのものが気になっているのであれば、対応は別の領域になります。その場合の選択肢は受け口の矯正は何で決まる?原因と成長という2つの軸で選択肢が変わるで扱っています。
横顔の基準そのものについてはEラインとは?基準の数値と、矯正で変わる部分・変わらない部分で整理しています。
どれくらい変わるのかには、上限がある
「変わる」と言っても、無制限ではありません。
唇の位置は前歯に支えられているので、前歯をどれだけ動かせるかが、そのまま変化の上限になります。
抜歯をせずにスペースを作る方法で口元を下げる場合、下げられる量は平均2〜4mm程度が目安とされています。歯を支える骨という物理的な限界があるためです。この考え方は非抜歯矯正の後悔はいつ出る?口元を下げられるのは平均2〜4mmという上限で詳しく扱っています。
抜歯をすればより大きく動かせますが、それでも動かせるのは歯の範囲内です。顔全体が別物になるわけではありません。
筋肉の使い方が変わることもある
もうひとつ、間接的な経路があります。
噛み合わせに偏りがあると、噛みやすいほうばかりを使うようになります。使う側の筋肉が発達し、左右で差が出ることがあります。
噛み合わせが整えば、この偏りが減ることがあります。ただしこれは筋肉の使い方の変化であって、骨の形が変わるわけではありません。また、変化の程度には個人差があり、どの程度変わるかを事前に約束できるものではありません。
口が閉じにくかった状態から閉じやすくなる、という変化も同じ経路です。前歯が下がって唇が自然に閉じられるようになると、口元の力の入り方が変わります。
噛み合わせそのものの分類は噛み合わせは矯正で治せる?「歯並び」とは別の軸で見る7つのタイプで扱っています。
「思っていたのと違う」を防ぐには
変化には方向があります。前に出ていた口元が下がる、というのはそういう方向の変化です。
問題になるのは、その方向が自分の望みと合っているかです。口元が出ていることを気にしていた人にとっては望ましい変化ですが、下がった状態を見て「思っていたのと違う」と感じることもあります。
この食い違いをどう防ぐかは「矯正でブサイクになった」という話はなぜ広まる?3つの成り立ちと、予想とのずれを防ぐ方法で扱っています。
確認しておくとよいのは、自分の場合どこがどれだけ動く計画なのかです。「顔が変わりますか」ではなく「口元は何mm下がる見込みですか」と聞くと、答えが具体になります。
通院先を大宮周辺で検討する場合は、通いやすさも判断材料になります。なお通院の頻度は医院の方式によって差があり、来院を最低1回※からとしている方式もあります。
※通院回数は治療内容・個人の状態により異なります
よくある質問
矯正で小顔になりますか?
顔の骨の大きさは変わりません。小顔になるかどうかは骨格の話なので、歯を動かす治療の範囲外です。
ただし口元が下がることで、横から見たときの印象が変わることはあります。「顔が小さくなる」ではなく「口元まわりのラインが変わる」と捉えるほうが実際に近くなります。
エラは引っ込みますか?
エラの張りが骨の形によるものであれば、矯正では変わりません。
一方、片側だけで噛む癖によって筋肉が発達している場合は、噛み合わせが整うことで使い方が変わる可能性があります。ただしどちらが原因かは診てもらわないと分かりませんし、変化の程度も個人差があります。
顔が長くなる、ほうれい線が増えると聞きました
口元が下がると、それまで張っていた部分の見え方が変わります。もともとの皮膚や脂肪の状態によって、印象の変わり方には差が出ます。
心配であれば、自分の場合にどの程度動かす計画なのかを確認してください。動かす量が小さければ、影響も小さくなります。
いつ頃から変化が分かりますか?
歯が動くにつれて少しずつ変わるため、はっきりした境目はありません。また治療の途中は完成形ではないので、その時点の見え方で判断する必要はありません。
まとめ
矯正で顔の印象が変わるのは、前歯が唇を内側から支えているからです。前歯の位置が変われば唇の位置が変わり、口元の見え方が変わります。
この一点から、範囲が決まります。唇が支えられている部分は変わり、骨格に属する部分は変わりません。 顎の骨の大きさ、鼻、目のまわり、頬骨やエラの骨そのものは、歯を動かしても変わりません。
変化の量にも上限があります。抜歯をせずに口元を下げる場合、目安は平均2〜4mm程度とされています。歯を支える骨という物理的な限界があるためです。
噛み合わせの偏りが減ることで筋肉の使い方が変わることもありますが、これは骨の形が変わるわけではなく、程度にも個人差があります。
期待も不安も、どこまでが範囲内かが分かれば整理できます。「顔が変わりますか」ではなく「自分の場合、どこがどれだけ動く計画ですか」と聞いてみてください。検査とカウンセリングを無料で受けられる医院であれば、費用をかけずにその確認から始められます。