噛み合わせが深いと指摘された。治したほうがいいのは分かるけれど、治すとしゃくれるらしいという話を見かけて手が止まっている。
そういう状態でこのページに来た方が多いと思います。
結論から書きます。下あごが新しく前に出るわけではありません。起きているのは、それとは違うことです。
「しゃくれる」という不安の正体
過蓋咬合は、噛んだときに上の前歯が下の前歯を深く覆っている状態です。
このとき、下あごに何が起きているか。上の前歯が深くかぶさっていることで、下あごが前に出られない状態になっていることがあります。上の歯が壁のようになって、下あごの動きを制限している形です。
矯正で噛み合わせの深さを浅くすると、この制限が外れます。すると下あごは、本来収まるべき位置に移動します。
公開されている解説では、この現象がこう説明されています。
「それまで引っ込んでいた下あごの位置が正常な場所に戻るため、人によっては『以前よりあごが出て見える』と感じるケースがあります」
つまり、あごが「出る」のではなく「戻る」ということです。
治療前の状態が、下あごが引っ込んだ状態だった。それが正常な位置に戻ったので、比較すると前に出たように見える。変化の向きは同じでも、意味がまったく違います。
極端な突出になることは、ほとんどない
では、戻った結果しゃくれた見た目になるのか。
同じ解説では、次のように述べられています。
「実際には、あごが極端に突出するような変化が起きることはほとんどありません」
むしろ、「下あごの位置が適切に矯正されることで、Eライン(鼻先・唇・あご先を結ぶライン)が整い、顔全体のバランスが良く見えるようになる場合も多くあります」とされています。
Eラインという基準そのものについてはEラインとは?基準の数値と、矯正で変わる部分・変わらない部分で扱っています。
なぜ「戻る」以上には出ないのか
理屈で押さえておくと安心できます。
矯正で動かせるのは歯です。あごの骨そのものの大きさや位置は、歯を動かす治療では変わりません。この範囲の考え方は歯の矯正で顔は変わる?変わるのは「唇の支え」で、骨格は変わらないで整理しています。
過蓋咬合の治療で起きているのは、歯が邪魔をして本来の位置に行けなかった下あごが、行けるようになるということです。行き先はもともと決まっていて、それを超えて前に出ることはありません。
一方、もともと下あごの骨が前に出ている状態(下顎前突)は、これとは別の話です。骨格に原因があるため、対応する範囲も変わります。その場合の選択肢は受け口の矯正は何で決まる?原因と成長という2つの軸で選択肢が変わるで扱っています。
それでも「印象が変わる」ことは起こりうる
ここは正直に書いておきます。
極端な突出は起きないとしても、横顔の印象が変わること自体は起こりえます。下あごの位置が変われば、あご先のラインも変わるからです。
問題になるのは、その変化が自分の予想と合っているかです。「変わらない」と思っていた人が変化に気づくと、想定外だと感じます。
だから、治療前にどう変わる見込みかを確認しておくことに意味があります。「しゃくれますか」ではなく「下あごの位置はどのくらい変わる見込みですか」と聞くと、答えが具体になります。
この「予想とのずれ」をどう防ぐかという考え方は「矯正でブサイクになった」という話はなぜ広まる?3つの成り立ちと、予想とのずれを防ぐ方法で扱っています。
治療そのものの見通し
過蓋咬合の治療では、歯を縦方向に動かす必要があります。この動きの性質と、期間がどうなるかは噛み合わせが深いとマウスピース矯正は難しい?縦方向の動きと期間の関係で詳しく扱っています。
見た目の変化の割に期間が長くなりやすい領域なので、そこも含めて見通しを聞いておくと判断しやすくなります。
通院先を大宮周辺で検討する場合は、通いやすさも判断材料になります。なお通院の頻度は医院の方式によって差があり、来院を最低1回※からとしている方式もあります。
※通院回数は治療内容・個人の状態により異なります
よくある質問
治療前より、あごが出て見えるようになりますか?
比較すればそう見えることはあります。ただしそれは引っ込んでいた下あごが本来の位置に戻った結果であって、新しく前に出たわけではありません。極端な突出になることはほとんどないとされています。
あごが出るのが嫌なので、治さないでおくのはどうですか?
見た目の判断は本人が決めることなので、治さないという選択もあります。ただし過蓋咬合では、下あごの動きが制限された状態が続きます。噛み合わせや顎の関節への影響も含めて、状態を診てもらったうえで判断するほうが確実です。
治療しない場合に何が起こりうるかも聞いておくと、比較材料になります。
どのくらい変わるかを事前に知る方法はありますか?
検査を受けたうえで、治療計画として説明を受けることになります。シミュレーションが提示される場合もありますが、結果を保証するものではありません。「方向の確認」として使うのが実際的です。
途中で「出てきた」と感じたらどうすればいいですか?
治療の途中は完成形ではないため、その時点の見え方で判断する必要はありません。ただし気になるのであれば、担当の医院に伝えてください。計画上の通過点なのかどうかを確認できます。
まとめ
過蓋咬合を治すと「しゃくれる」と言われることがありますが、実際に起きているのは下あごが新しく前に出ることではありません。
上の前歯が深くかぶさっていることで前に出られなかった下あごが、本来の位置に戻る。これが変化の正体です。治療前と比べれば前に出たように見えますが、向きが同じでも意味が違います。
そして「あごが極端に突出するような変化が起きることはほとんどない」とされています。むしろ下あごの位置が適切になることで、顔全体のバランスが整う場合も多いと説明されています。
理屈としても、矯正で動かせるのは歯であって、あごの骨そのものの大きさや位置は変わりません。行き先はもともと決まっているので、それを超えて出ることはありません。
ただし、横顔の印象が変わること自体は起こりえます。「しゃくれますか」ではなく「下あごの位置はどのくらい変わる見込みですか」と聞けば、答えは具体になります。検査とカウンセリングを無料で受けられる医院であれば、費用をかけずにその確認から始められます。