矯正をしようと調べているうちに、「矯正して顔が変わってしまった」という話を見かけた。それで手が止まっている。
そういう状態でこのページに来た方が多いと思います。
この記事では、その話を否定も肯定もせずに、どういう成り立ちで広まっているのかを分解します。分けてみると、根拠のないものと、実際に起こりうるものが混ざっていることが分かります。
そして結論から書くと、防ぐべきなのは「醜くなること」ではありません。そこを言い換えると、対策が見えてきます。
この話の成り立ちは3つに分かれる
「矯正で見た目が悪くなった」という話は、次の3つのどれかであることがほとんどです。
| 成り立ち | 内容 |
|---|---|
| ① 治療途中の状態を見ている | 完成形ではない段階が「変化後」として扱われている |
| ② 歯以外の要因で印象が変わった | 年齢や体格などの変化と時期が重なっている |
| ③ 実際に起こりうる変化がある | 治療の設計として口元の印象が変わることはある |
3つ目があるため、「そういう話はすべて事実無根です」とは書きません。順に見ていきます。
① 治療途中の状態を見ている
矯正は歯を動かしている最中の期間が長く続きます。その途中では、歯の位置も噛み合わせも完成していません。口元の見え方が一時的に不自然になる時期もあります。
治療計画が想定しているのは終わったときの状態であって、途中の各段階ではありません。
ここで、人目に触れる機会が多い人ほど不利な構造が生まれます。治療の途中経過が繰り返し観察され、記録され、比較されるからです。一般の人であれば誰にも見られずに過ぎる期間が、可視化されて「変わった」という話になります。
つまり、完成していない段階が、結果として語られていることがあります。
② 顔の印象は歯以外でも変わる
矯正は年単位の治療です。その間、人は年を取り、体重も変わり、髪型やメイクも変わります。撮影される環境も一定ではありません。
同じ時期に矯正をしていると、それらの変化が矯正と結びつけられます。時期が重なっているだけで、因果関係があるように見えるという現象です。
これは検索の世界でも同じ構造が起きます。ある言葉が検索されると候補に残り、それを見た人がさらに検索する、という仕組みについてはクリニック名+「やばい」で検索したら?評判ワードの成り立ちと確認したい6項目で扱っています。
③ 実際に起こりうる変化がある
ここは正直に書きます。矯正で口元の印象が変わることは、実際にあります。
たとえば抜歯をしてできた隙間を閉じていけば、前歯は後ろに移動します。その結果、口元は下がります。これは想定外の事故ではなく、治療の設計としてそうなる動きです。抜歯後に隙間を閉じる工程については抜歯矯正で抜くのはどの歯?期間の大半を占める「隙間を閉じる工程」で扱っています。
問題は、下がった結果の印象が、本人の想像と違うことがあるという点です。
口元が出ていることを気にしていた人が、下がった状態を見て「思っていたのと違う」と感じることがあります。口元だけでなく、頬や横顔全体の印象も一緒に変わるためです。原因のタイプによって変わる範囲が違うことは口ゴボは矯正で治る?原因のタイプ別に治療法と抜歯の要否を解説で整理しています。
なぜ歯を動かすと顔の印象が変わるのか、その仕組みと変わらない部分の範囲については歯の矯正で顔は変わる?変わるのは「唇の支え」で、骨格は変わらないで整理しています。
問題は「醜くなった」ではなく「予想と違う方向に変わった」
ここがこの記事でいちばん伝えたいところです。
「ブサイクになった」という言い方は、評価の言葉です。評価は主観なので、そのままでは対策の立てようがありません。誰にとっての、どういう基準での話なのかが定まらないからです。
けれど、③で起きていることを言い換えると、こうなります。
予想していた方向と、実際に変わった方向がずれていた。
こう置き換えると、性質が変わります。
| 表現 | 対策できるか |
|---|---|
| 醜くなった | 主観の評価。基準が定まらないので対策できない |
| 予想と違う方向に変わった | 事前にすり合わせられる |
方向のずれは、治療前に共有しておけば減らせます。何を目指す治療なのか、どこがどう変わる見込みなのかを、始める前に言葉にしておくことです。
不安の正体が「自分もそうなるのでは」という漠然としたものであれば、それを「自分の場合、どこがどう変わる計画なのか」という質問に変えるところから始められます。
ずれを減らすために、治療前に確認すること
具体的に何を聞けばよいかを挙げます。
この治療のゴールをどこに置いているか。噛み合わせの改善を主目的にする計画と、口元の見え方まで含めて設計する計画では、進め方が変わります。自分がどちらを望んでいるかを伝え、計画がそれに沿っているかを確認します。
口元が下がる見込みがあるか、どの程度か。抜歯を含む計画では、下がることが前提になっています。どの程度動く見込みなのかを聞いておくと、想像とのずれが減ります。
変わらない部分はどこか。骨格そのものは矯正では変わりません。何が変わって何が変わらないのかの線引きは、横顔の基準とあわせてEラインとは?基準の数値と、矯正で変わる部分・変わらない部分で整理しています。
画像のシミュレーションはどこまで当てになるか。予測画像は計画を共有する道具として役立ちますが、そのとおりの結果を保証するものではありません。画像から分かることと分からないことは歯並びの写真診断で分かること・分からないこと|精密検査との違いで扱っています。
途中経過ではどう見えるか。完成形になるまでの間、どういう見え方の時期があるのかを聞いておくと、その時期に慌てずに済みます。
治療中に不安になったときは
すでに治療中で見え方が気になっている場合、まず押さえておきたいのは、途中は完成形ではないということです。
そのうえで、気になる点は担当している医院に伝えてください。感じている違和感が計画上の通過点なのか、計画とずれているのかを判断できるのは、あなたの計画を持っている医院です。
伝えるときは「変な感じがする」ではなく、どこがどう気になるかを具体的に言うと、話が早くなります。
通院先を大宮周辺で検討する場合は、通いやすさも判断材料になります。気になったときに相談しやすい距離かどうかは、年単位の治療では実際的な条件です。なお通院の頻度は医院の方式によって差があり、来院を最低1回※からとしている方式もあります。
※通院回数は治療内容・個人の状態により異なります
よくある質問
矯正すればきれいになりますか?
矯正は歯並びと噛み合わせを整える治療で、見た目の評価そのものを保証するものではありません。歯並びが整った結果として口元の印象が変わることはありますが、どう感じるかは主観によります。「きれいになるか」ではなく「どこがどう変わる計画か」を確認するほうが、期待とのずれが減ります。
抜歯すると頬がこけますか?
抜歯そのものが頬の脂肪や筋肉を減らすわけではありません。ただし口元が下がることで、横顔全体の印象は変わります。変化の程度は、もともとの骨格や、どれだけ歯を移動させる計画かによります。心配な場合は、抜歯する計画かどうかと、その理由を確認してみてください。
シミュレーション画像どおりになりますか?
シミュレーションは計画を共有するための道具であって、結果を保証するものではありません。実際の動きは骨や歯根の状態に左右されます。画像を「約束」ではなく「方向の確認」として使うと、役割が合います。
途中で「変わった」と言われたらどうすればいいですか?
治療の途中は完成形ではないので、その時点の見え方で判断する必要はありません。ただ、自分でも気になるのであれば担当の医院に伝えてください。計画上の通過点なのかどうかを確認できます。
まとめ
「矯正でブサイクになった」という話は、3つの成り立ちに分かれます。①治療途中の状態を見ている、②歯以外の要因と時期が重なっている、③実際に起こりうる変化がある、の3つです。
3つ目は事実として存在します。抜歯してできた隙間を閉じれば口元は下がりますし、それは治療の設計どおりの動きです。
ただし、そこで起きているのは「醜くなった」ではなく、予想していた方向と実際の変化がずれていたということです。
この言い換えが重要です。評価は主観なので対策できませんが、方向のずれは治療前にすり合わせておけば減らせます。
確認しておくとよいのは、治療のゴールをどこに置く計画か、口元が下がる見込みはどの程度か、変わらない部分はどこか、シミュレーションはどこまで当てになるか、途中経過ではどう見えるか、の5点です。
不安を「自分もそうなるのでは」から「自分の場合、どこがどう変わる計画なのか」に変える。そこから始めれば、噂を検索し続ける必要はなくなります。検査とカウンセリングを無料で受けられる医院であれば、費用をかけずにその確認から始められます。