治療を始めてから、噛み合わせの感じが変わった。奥歯が当たらない気がする。前歯だけで噛んでいるように感じる。
そういうとき、いちばん困るのは自分のこれが正常なのか分からないことだと思います。「一時的なものです」という説明を読んでも、自分がそれに当てはまるのかが判断できません。
そこでこの記事では、様子を見てよい変化と、相談したほうがよい変化を分ける具体的な線引きをまとめます。基準は「期間」と「症状の種類」の2つです。
途中で噛み合わせが変わるのは、設計上の通過点
まず、なぜ途中で変わるのかを整理します。
Oh my teeth の解説では、次のように説明されています。
「マウスピースを交換するたびに少しずつ歯を動かしていきます。治療のゴール地点では理想的な噛み合わせになるように設計されていますが、その途中段階では、一時的に噛み合わせが不安定になるのは自然なこと」
ここが重要なところです。治療計画が想定しているのは終わったときの噛み合わせであって、途中の各段階ではありません。
そして、歯は一斉に同じ速度で動くわけではありません。先に動く歯と、あとから動く歯があります。その結果、移動の途中では上下の歯の当たり方が一時的に崩れます。
つまり、「悪くなった」ように感じている状態が、計画どおりに進んでいる状態でもありうるということです。
ただし、それを自分で見分けることはできません。だから基準が要ります。
見分ける基準は「期間」と「症状」の2つ
公開されている説明をもとに、線引きを整理します。
| 様子を見てよい | 相談したほうがよい | |
|---|---|---|
| 期間 | 新しいマウスピースに交換してから2〜3日、長くとも1週間程度で慣れてくる | 1週間以上違和感が続く |
| 症状 | 今まで当たっていた奥歯が、少し浮いたように感じる/前歯の噛み合わせが深くなったり浅くなったりする | 奥歯が全く噛み合わず前歯だけで食事をしている/特定の歯だけが強く当たり痛みを感じる/口を開け閉めするときに顎の関節がカクカク鳴ったり痛んだりする/1週間以上経ってもマウスピースが浮いてフィットしない |
交換のたびに数日違和感があり、それが落ち着いていくのであれば、心配しすぎる必要はないとされています。
一方、右側の症状はそのままにせず、担当の医院に連絡してください。とくに顎の関節に音や痛みが出ている場合は、自己判断で様子を見ないでください。噛み合わせの問題が顎の関節に負担をかけている可能性があり、続くと別のトラブルにつながることがあります。
「奥歯が全く噛み合わない」と「奥歯が少し浮いた感じがする」は、言葉としては近く見えますが、区別されています。食事が前歯だけになっているかどうかが、ひとつの目安になります。
戻らないときに考えられること
期間が過ぎても改善しない場合、いくつか原因が考えられます。
装着時間が足りていない。マウスピースは決められた時間装着することで計画どおりに歯を動かします。時間が不足すると歯が予定の位置まで動かず、次のマウスピースが合わなくなっていきます。歯が浮くのを防ぐには1日20時間以上の装着が目安とされています。
マウスピースがしっかり装着できていない。浮いたまま使い続けると、計画とのずれが積み重なります。
どちらも、途中で気づけば修正できる範囲です。ずれが大きくなる前に相談するほうが、結果的に治療期間が延びずに済みます。自分で防げる要因と診断の段階で決まる要因の切り分けはマウスピース矯正の失敗例は2種類|自分で防げるものと診断で決まるもので整理しています。
通院の頻度が少ない方式を選んでいる場合でも、こうした異変があるときは通院の対象になります。どこまでが減らせる通院かはマウスピース矯正は本当に通院不要?減らせる通院と減らせない通院で扱っています。
治療が終わったあとにも噛み合わせは変わる
装置を外した時点が終わりではありません。
動かし終えた直後の歯は、まだ周りの組織が安定していません。この時期に噛み合わせが少しずつ変化することがあります。保定装置を使うのは、この時期を安定して通過するためです。
保定の仕組みと装置の選び方はリテーナーはなぜ必要?後戻りを起こす2つの力と種類の選び方で整理しています。
なお、もともと噛み合わせが深い状態から治療する場合は、変化の見え方や期間の感覚が変わります。その事情は噛み合わせが深いとマウスピース矯正は難しい?縦方向の動きと期間の関係で扱っています。
自己判断で避けたいこと
不安なときにやってしまいがちで、状況を悪くする行動があります。
マウスピースを飛ばして先に進める。合わないから次へ、という進め方は、歯が予定の位置にないまま次の力をかけることになります。ずれがさらに広がります。
自分で削る・調整する。装置の形は計画に基づいています。手を加えると計画どおりの力がかからなくなります。
痛いので外して過ごす。装着時間が減れば、歯は予定どおりに動きません。痛みが強い場合は、我慢や中断ではなく相談してください。
そして、いちばん大事なことを書いておきます。噛み合わせの異変に気づいたときの最初の行動は、担当している医院に連絡することです。他の医院で治療を受けている場合も同じです。あなたの治療計画を持っているのはその医院で、経過を踏まえた判断ができるのはそこだからです。
通院先を大宮周辺でこれから検討する場合は、通いやすさも判断材料になります。異変があったときにすぐ相談できる距離かどうかは、実際的な条件です。なお通院の頻度は医院の方式によって差があり、来院を最低1回※からとしている方式もあります。
※通院回数は治療内容・個人の状態により異なります
よくある質問
奥歯が当たらないのですが、食事はどうすればいいですか?
一時的に奥歯の接触が減ることはありますが、前歯だけで食事をしている状態が続いているなら相談の対象です。前歯は本来かみ切る役割で、すりつぶす動きには向いていません。その状態が続くと前歯に負担がかかります。数日で戻る範囲かどうかを見て、続くようなら連絡してください。
前のマウスピースに戻してもいいですか?
自己判断では行わないでください。前の段階に戻すことが適切な場合もありますが、それは計画を持っている医院が判断することです。連絡すれば、戻すのか、そのまま進めるのか、作り直すのかを指示してもらえます。
治療が終われば噛み合わせは元に戻りますか?
「元に戻る」ではなく、計画したゴールの噛み合わせになるという形です。治療前の状態に戻すことが目的ではありません。ただし、ゴールに到達したかどうかは治療終了時に評価されるものなので、気になる点があれば装置を外す前の段階で伝えてください。
噛み合わせが変わるのが心配で、始められません
途中で一時的に変化するのは、計画上想定されていることです。心配なのであれば、契約前に途中経過で噛み合わせがどう変わる見込みか、異変があったときにどう連絡すればよいかを確認しておくと安心できます。相談の窓口と頻度は医院によって違うので、そこを比べるのも判断材料になります。
まとめ
マウスピース矯正の途中で噛み合わせが変わるのは、治療のゴールを設計しているために起きる通過点です。歯は一斉には動かないため、移動の途中では上下の当たり方が一時的に崩れます。
様子を見てよいかどうかは、期間と症状の2つで見分けます。
交換から2〜3日、長くとも1週間程度で慣れてくるなら、心配しすぎる必要はないとされています。一方、1週間以上続く場合や、奥歯が全く噛み合わない・特定の歯だけ強く当たって痛む・顎の関節が鳴ったり痛んだりする・マウスピースが1週間以上浮いているといった症状は、相談の対象です。
改善しない場合、装着時間の不足やマウスピースが浮いていることが原因のこともあります。どちらも早く気づけば修正できる範囲です。
そして、異変に気づいたときの最初の行動は、担当している医院に連絡することです。マウスピースを飛ばす、自分で削る、外して過ごすといった自己判断は、ずれを広げる方向に働きます。