矯正が終わって、リテーナーを使っている。装置が外れたときは解放された気分だったのに、結局まだ何かを付けている。
あとどれくらい続けるのか。そう思って調べると、「人によります」「歯科医の指示に従ってください」という答えばかりで、はっきりしない。
この「はっきりしない」感じには理由があります。リテーナーの期間を決めているのは、日数ではなく状態だからです。
「いつまで」の答えが一律でないのは、状態を見ているから
期間の目安として、よく言われる基準があります。リテーナーの装着期間は「矯正にかかった期間と同じ長さ」が基本とされています。
1年かけて動かしたなら1年、2年かかったなら2年、という考え方です。
ただしこれは目安であって、条件ではありません。
実際に判断を決めているのは、歯並びが安定してきたかどうかです。動かし終えた歯の周りの組織が新しい位置に落ち着くまでの時間には個人差があり、日数で一律に区切れるものではありません。
ここに食い違いがあります。あなたは期間で答えを求めていて、医院は状態を見ている。だから「何年です」という明確な答えが返ってこないわけです。
「やめる」のではなく「減らしていく」
もうひとつ、問いの立て方そのものを見直すと理解が変わります。
「いつまで」という聞き方は、付けるか付けないかの二択を前提にしています。実際には、そういう形にはなっていません。
ただしこれは取り外し式の場合の話です。歯の裏側に接着する固定式では、装着時間を減らしていくという段階がなく、付けているか外すかの二択になります。
| 段階 | 装着の目安 |
|---|---|
| ① 保定を始めた時期 | 1日20時間以上。食事と歯磨きのとき以外は装着 |
| ② 歯並びが安定してきたら | 段階的に減らしていく |
| ③ | 夜間だけの装着で十分なケースも多い |
公開されている説明では、「保定開始からある程度時間が経過し、歯並びが安定してきたら、リテーナーの装着時間を段階的に減らしていきます」とされています。夜間だけになると継続もしやすくなります。
具体的な例として、Oh my teeth では「矯正終了後3ヶ月間。その後は夜だけリテーナーを装着することをお願いしています」という進め方が示されています。
つまり、終わる日が来るのではなく、少しずつ軽くなっていくという形です。「いつまで」の答えが出にくいのは、そもそも終点のある話ではないからでもあります。
一生必要なのか
長期の話になると出てくる疑問です。ここは公開されている説明を正確に引用します。
「一生を装着し続ける必要はありませんが、きれいな歯並びを維持するためにも『長期的に装着する』とよい」
一生外せないという話ではありません。同時に、ある時点できっぱり終わるというものでもない、という位置づけです。
なお、矯正から年数が経ってから歯並びが変わる場合、後戻りだけでなく加齢による変化も混ざります。その切り分けは矯正から10年で歯が動いた?後戻りと加齢による変化は分けて考えるで扱っています。
「きつい」「入らない」は減らしすぎのサイン
ここが、自分で使える判断材料になります。
しばらく付けていなかったリテーナーを久しぶりに装着したとき、こういうことがあります。
「痛い」「きつい」と感じる。 これは、すでに歯が動いてリテーナーと合わなくなっている可能性があります。作ったときの歯並びと、今の歯並びがずれてきているということです。
浮いて入らない。 これは後戻りが進行しているサインとされています。
どちらの場合も、無理に入れないでください。合っていない装置を力任せに装着すると、歯に不適切な力がかかります。
そして、早めに歯科医に相談してください。この段階で気づけば、対応の選択肢が残っています。作り直す、装着時間を戻す、といった方法が取れます。
ずれが小さいうちに気づけるかどうかで、その後の負担が変わります。自分で防げる要因と診断で決まる要因の切り分けはマウスピース矯正の失敗例は2種類|自分で防げるものと診断で決まるものでも整理しています。
自己判断でやめないほうがよい理由
「もう大丈夫だろう」と思って、自分の判断で装着をやめることがあります。
やめること自体が悪いのではありません。実際、段階を進めれば装着は減っていきます。問題は、その判断を一人で下すと、ずれたときに気づくのが遅れることです。
医院で経過を見ていれば、減らしてみて問題がないかを確認しながら次の段階に進めます。うまくいかなければ、前の段階に戻すという選択肢もあります。
一方、自己判断でやめた場合、気づくきっかけは「久しぶりに付けたら入らなかった」になりがちです。その時点では、すでに動いています。
リテーナーがなぜ必要なのか、どういう種類があるのかはリテーナーはなぜ必要?後戻りを起こす2つの力と種類の選び方で整理しています。
通院先を大宮周辺で検討する場合は、通いやすさも判断材料になります。保定の確認は長く続くものなので、通いやすさは実際的な条件です。なお通院の頻度は医院の方式によって差があり、来院を最低1回※からとしている方式もあります。
※通院回数は治療内容・個人の状態により異なります
よくある質問
何年経てば完全にやめられますか?
年数で区切る形にはなっていません。目安として「矯正にかかった期間と同じ長さ」が示されていますが、判断されているのは歯並びが安定したかどうかです。
また「完全にやめる」というより、装着時間を段階的に減らしていくという進み方になります。夜だけの装着で維持できている状態も、続けているうちに入ります。
数日つけ忘れました。どうすればいいですか?
まず装着してみてください。問題なく入るのであれば、そのまま続けて構いません。
痛い、きつい、入らないという場合は、歯が動いている可能性があります。無理に入れず、歯科医に連絡してください。
夜だけでも面倒です。週に数回ではだめですか?
自己判断で頻度を落とすのは避けてください。減らせるかどうかは、減らしてみて戻らないことを確認しながら判断するものです。
面倒だという気持ちは伝えて構いません。装置の種類を変えることで負担が減る場合もあります。相談したうえで決めるほうが、結果的に続けやすくなります。
リテーナーが壊れた・なくした場合は?
早めに連絡してください。装着していない期間が長くなるほど、歯が動く余地が生まれます。作り直しになる場合も、現在の歯並びに合わせて作ることになるため、早いほうが元の状態に近い形で作れます。
まとめ
リテーナーの「いつまで」に一律の答えがないのは、日数ではなく歯並びが安定したかどうかで判断されているからです。目安として「矯正にかかった期間と同じ長さ」が示されていますが、これは条件ではなく目安です。
そして進み方は、やめるかどうかの二択ではありません。保定を始めた時期は1日20時間以上、安定してきたら段階的に減らし、夜間だけの装着で十分なケースも多い、という連続的な移行になります。
一生の装着が必須というわけではない一方、長期的に使うことがすすめられています。
自分で使える判断材料は、装着したときの感覚です。「痛い」「きつい」は歯が動いてリテーナーと合わなくなっている可能性があり、浮いて入らない場合は後戻りが進行しているサインとされています。無理に入れず、早めに相談してください。
減らす判断は、戻せるうちに気づけるかどうかにかかっています。一人で決めるより、経過を見てもらいながら段階を進めるほうが確実です。