抜歯を伴う矯正を勧められた。口元が下がるのは望んでいることだけれど、下がりすぎたらどうしようと思っている。
あるいは、すでに治療が進んでいて、思っていたより引っ込んだと感じている。
どちらの方にも読めるように書きます。先に結論を置くと、引っ込みすぎは治療中の事故ではなく、入った「帯」の結果であることが多いです。
どれくらい引っ込むのか、数で見る
公開されている解説では、「4本抜歯の場合で口元は約6〜7mm程度引っ込むのが一般的な目安」とされています。
一方、抜歯をせずにスペースを作る方法で下げられる量は、平均2〜4mm程度が目安とされています。この上限については非抜歯矯正の後悔はいつ出る?口元を下げられるのは平均2〜4mmという上限で扱っています。
この2つを並べると、見えてくるものがあります。
| 口元が下がる量の目安 | |
|---|---|
| 抜歯をしない場合 | 2〜4mm程度 |
| 4本抜歯の場合 | 6〜7mm程度 |
あいだが空いています。
つまり口元の変化量は、ダイヤルのように連続して選べるものではありません。抜くか抜かないかで、別々の帯に分かれます。
ここから、あまり語られない事実が出てきます。「少しだけ下げたい」が、いちばん難しいということです。
5mm下げたい人は、抜かなければ足りず、4本抜けば行きすぎる可能性があります。下げ足りない後悔と、下げすぎた後悔は、同じ1本の目盛りの両端にあります。
なお、抜いた隙間をどう閉じるか(前歯を後ろに下げる量と、奥歯を前に出す量の配分)によって調整の余地はあります。帯が固定された数字というわけではありません。隙間を閉じる工程については抜歯矯正で抜くのはどの歯?期間の大半を占める「隙間を閉じる工程」で扱っています。
それでも、帯が2つに分かれているという構造は変わりません。
引っ込みすぎが起きる3つの原因
公開されている解説では、原因が3つ挙げられています。
① 本来は必要のない抜歯。抜歯矯正では前から4番目の歯(第一小臼歯)を抜くことが多いとされていますが、必要でない場合に抜けば、その分だけ余計に下がります。
② Eラインを目安以上に扱うこと。解説では「Eラインはあくまで横顔の美しさの『目安』であり、理想的なラインは骨格や顔のバランスによって一人ひとり異なる」とされています。基準に合わせにいくと、自分の骨格に合わない位置まで下げることになります。Eラインという基準の性格はEラインとは?基準の数値と、矯正で変わる部分・変わらない部分で扱っています。
③ 治療計画と骨格のミスマッチ。ここが見落とされやすい点です。解説では「顎の骨が小さい方や唇が薄い方は、わずかな歯の移動でも口元の変化が大きく現れやすい」とされています。
③が意味するのは、同じ量だけ歯を動かしても、出てくる見た目の変化は人によって違うということです。歯の移動量が同じでも、唇が薄ければ変化はそのまま表に出ます。
なぜ歯の移動が顔の印象に変わるのかという仕組みは歯の矯正で顔は変わる?変わるのは「唇の支え」で、骨格は変わらないで整理しています。
下げたい量が大きい人ほど、下げすぎのリスクも高い
ここは不都合な対応関係なので、正直に書いておきます。
公開されている解説では、口元が下がりやすい歯並びとして次が挙げられています。
- 出っ歯(上顎前突)——前歯の移動量が大きい
- 口ゴボ(上下顎前突)——上下4本抜歯となる場合があり、リスクが高い
- 下顎が小さい骨格——口元まわりのボリュームが減る
並べると分かりますが、これらはそもそも口元を下げたくて相談に来る人の主訴とほぼ重なります。
口ゴボは、口元の突出を気にして治療を検討する代表的な状態です。原因のタイプについては口ゴボは矯正で治る?原因のタイプ別に治療法と抜歯の要否を解説で扱っています。
下げたい量が大きいということは、動かす量が大きいということです。だから同じ理由で、行きすぎる側にも振れやすくなります。
ここで「だから抜歯をしないほうがいい」とは書けません。抜歯をしなければ2〜4mmの帯に留まるため、今度は下げ足りないという結果になります。どちらの帯にも、それぞれの後悔があります。
そして抜歯の要否は希望では決まりません。判断が医院によって分かれる理由も含めて、そこは診断の領域です。
防ぎ方は、入る前に数を確認すること
帯が治療の入口で決まるということは、防ぐ作業も入口にあるということです。治療が始まってから気をつけて減らせるものではありません。
公開されている解説では、予防として3Dシミュレーションでの事前確認、非抜歯という選択肢の検討、セカンドオピニオンの比較が挙げられています。
このとき、聞き方を変えると答えが具体になります。
「引っ込みすぎませんか」ではなく「口元は何mm下がる計画ですか」。
前者には「大丈夫です」としか返ってきません。後者なら数字が返ってきて、自分が望んでいる変化と突き合わせられます。
自分がどれくらい下げたいのかを、先に言葉ではなく量で持っておくことが要になります。「すっきりさせたい」では、6〜7mmも2mmも同じ言葉に収まってしまいます。
予想と結果がずれる仕組みそのものは「矯正でブサイクになった」という話はなぜ広まる?3つの成り立ちと、予想とのずれを防ぐ方法で扱っています。
すでに引っ込みすぎたと感じている場合
治療の途中であれば、まずその時点は完成形ではないという前提があります。隙間を閉じている最中は、見た目が通過点の状態です。気になるのであれば、担当している医院に伝えてください。計画上どこまで動かす予定なのかを確認できます。
治療が終わったあとで感じている場合、公開されている解説では対処として次が挙げられています。
- 再矯正——歯を前方に動かし直す
- 歯科補綴——セラミックやラミネートベニアを用いる方法
- 美容医療——ヒアルロン酸の注入など
ただし注意が要ります。ヒアルロン酸については効果が半年〜1年程度とされており、恒久的な解決ではありません。また補綴や美容医療は歯を動かす治療とは別の領域で、当サイトの扱う範囲の外にあります。
どれを選ぶにしても、まず現状がどうなっているのかを診てもらうことが先になります。下がりすぎているのか、想定の範囲内なのかは、印象ではなく計測で判断されます。
通院先を大宮周辺で検討する場合は、通いやすさも判断材料になります。なお通院の頻度は医院の方式によって差があり、来院を最低1回※からとしている方式もあります。
※通院回数は治療内容・個人の状態により異なります
よくある質問
抜歯すると決めた時点で、下がる量は決まってしまいますか?
帯は決まりますが、その中の位置には調整の余地があります。抜いてできた隙間を、前歯を下げることで閉じるのか、奥歯を前に出すことで閉じるのかという配分で変わります。
どう閉じる計画なのかを聞いておくと、下がる量の見込みが具体になります。
4本ではなく2本だけ抜けば、下がりすぎませんか?
本数を減らせば作れるスペースも減るため、下がる量は小さくなります。ただし本数は希望で決めるものではなく、必要なスペースの量と、噛み合わせをどう仕上げるかで決まります。
上だけ抜いて下を抜かなければ、上下の関係が変わります。見た目の変化量だけで本数を選ぶことはできません。
ほうれい線が目立つようになりますか?
口元まわりのボリュームが減れば、それまで張っていた部分の見え方は変わります。もともとの皮膚や脂肪の状態によって、出方には差があります。
心配であれば、自分の計画で何mm動かすのかを確認してください。動かす量が小さければ、影響も小さくなります。
引っ込みすぎた場合、元に戻せますか?
再矯正で歯を前方に動かし直すという方法があります。ただしもう一度矯正治療を行うことになるため、期間も費用もあらためてかかります。
抜いた歯は戻らないので、抜歯前の状態にそのまま戻るわけではありません。やり直しがきく範囲には限りがあるという前提で、入口の判断に時間をかけるほうが確実です。
まとめ
抜歯矯正で口元が引っ込みすぎるという話は、治療中の事故というより、入った帯の結果であることが多いです。
口元が下がる量は連続していません。抜歯をしない場合は平均2〜4mm程度、4本抜歯の場合は約6〜7mm程度が目安とされており、あいだが空いています。だから「少しだけ下げたい」がいちばん難しく、下げ足りない後悔と下げすぎた後悔は同じ目盛りの両端にあります。
引っ込みすぎの原因として挙げられているのは、本来必要のない抜歯、Eラインを目安以上に扱うこと、そして治療計画と骨格のミスマッチです。とくに顎の骨が小さい方や唇が薄い方は、わずかな移動でも変化が大きく出ます。
そして、下げたい量が大きい人ほど、下げすぎ側にも振れやすくなります。出っ歯や口ゴボは、まさに口元を下げたくて相談する主訴です。かといって抜歯を避ければ2〜4mmの帯に留まるため、今度は足りません。どちらの帯にも固有の後悔があります。
だから防ぎ方は、治療中の注意ではなく入口にあります。「引っ込みすぎませんか」ではなく「口元は何mm下がる計画ですか」と聞いてください。そして自分が望む変化を、言葉ではなく量で持っておくことです。
検査とカウンセリングを無料で受けられる医院であれば、費用をかけずにその数字の確認から始められます。