受け口を治したい。ただ、調べると金額の幅が大きすぎて、自分がいくら払うことになるのか読めない。
しかも「手術が必要になることがある」と書かれている。そうなったらいくらになるのか。そこが分からないまま身構えている方が多いと思います。
先に結論を書きます。受け口の費用は、治療法ごとの値段表を比べても決まりません。桁を決めているのは、保険が使えるかどうかです。
治療法ごとの費用の目安
まず数字を並べます。
| 治療法 | 費用の目安 | 対応する程度 | 期間 |
|---|---|---|---|
| マウスピース矯正 | 30万〜100万円 | 軽度〜中度 | 1〜3年程度 |
| ワイヤー矯正 | 60万〜170万円 | 中度〜重度 | 1〜3年程度 |
| 外科的矯正治療(自由診療) | 140万〜400万円 | — | 2〜4年程度 |
| 外科的矯正治療(保険適用) | 50万〜65万円(自己負担3割) | 顎変形症の場合 | 2〜4年程度 |
※上記のうち保険適用となる場合を除き、これらは自由診療(保険適用外)です。装置を用いて歯を動かす治療で、外科的矯正治療では顎の骨を移動させる手術をともないます。費用と治療期間は症例により異なります(標準的な費用と期間は上表のとおり)。リスク・副作用として、装着中の痛みや違和感、発音のしにくさ、治療期間の延長や計画どおりに歯が動かないこと、治療後の後戻りなどが生じることがあります。外科手術をともなう場合は、手術に伴う腫れ・痛み・感覚の変化などが生じることがあります。また症例によっては適応外と判断される場合があります。
桁を決めているのは、治療法ではなく保険の可否
この表を眺めると、直感に反することが起きているのが分かります。
| 費用 | |
|---|---|
| ワイヤー矯正(自由診療) | 60万〜170万円 |
| 外科的矯正治療(保険適用) | 50万〜65万円 |
より大がかりな治療である外科矯正のほうが、保険が効けば安くなることがある、ということです。
そして同じ外科矯正でも、自由診療なら140万〜400万円、保険適用なら50万〜65万円。同じ治療で3倍から6倍の差が出ます。
治療法ごとの値段を比べていると、この構造は見えません。「手術は高い」という前提で読むと、実際の費用感とずれます。
つまり受け口の費用を考えるときは、まず自分が保険の枠に入るかどうかを確認するのが順序として先になります。
ただし「安いから手術を選ぶ」はできない
ここは正確に書いておきます。
保険が適用されるのは、「顎変形症」と診断され、外科手術をともなう矯正が必要と判断された場合に限られます。
公益社団法人 日本矯正歯科学会の説明では、対象は「顎変形症(顎離断等の手術を必要とするものに限る)の手術前・後」とされています。手術を必要とすると判断されること自体が条件になっているわけです。
つまり、保険の可否は適応で決まります。希望では選べません。
そしてもう一点、こちらのほうが重要です。外科的矯正治療は、顎の骨を移動させる手術をともなう治療です。入院が必要になり、術後には腫れや感覚の変化が生じることがあります。回復にも時間がかかります。期間も2〜4年程度と、他の方法より長くなります。
費用の安さを理由に選ぶ治療ではありません。 手術が選択肢になるのは、顎の骨の位置そのものが原因で、歯を動かす治療では対応する範囲を超える場合です。この判断の考え方は受け口の矯正は何で決まる?原因と成長という2つの軸で選択肢が変わるで整理しています。
自分が保険の枠に入るかを確かめる
順序として最初にやることです。
検査を受けて診断してもらう。顎変形症に当たるかどうか、手術が必要と判断されるかどうかは、レントゲンなどで顎の骨格と歯の位置関係を評価して決まります。自己判断はできません。
相談先が「顎診」の届出施設かを確認する。学会の説明によると、保険診療を行えるのは施設基準に適合しているものとして届け出た保険医療機関のみです。顎変形症の外科的治療については「顎診」の指定機関が対象になります。
そして、これらの指定機関は地方厚生局のホームページから検索できます。保険での治療を視野に入れているなら、相談する前に調べておくと話が早くなります。
費用を抑える方向で取れること
そのうえで、実際に取れる手段を挙げます。
医療費控除を確認する。年間の医療費が10万円を超えた場合、確定申告で一部が所得控除の対象になります。対象になる費用には、装置代・診断料・調整料・通院の交通費が含まれるとされています。
ただし、矯正治療が控除の対象になるかどうかは治療の目的によって判断されます。噛み合わせなど機能上の理由による治療は対象になり得るとされていますが、個別の判断になるため、税務署または国税庁の案内で確認してください。
総額でそろえて比べる。表示されている金額に何が含まれるかは医院によって違います。精密検査費、調整料、保定装置が別建てになっていると、総額では印象が変わります。内訳の見方はマウスピース矯正の値段はいくら?相場と内訳、総額の見方を解説で、装置による価格差は歯列矯正の費用は装置で決まる|価格差の理由と、表示価格に入らない調整料で整理しています。
「安い」の意味を確認する。同じ金額でも、目的に届くかどうかで意味が変わります。この考え方は歯列矯正の「安い」は3種類ある|表示価格・総額・目的に対しての違いで扱っています。
通院先を大宮周辺で検討する場合は、通いやすさも判断材料になります。2〜4年に及ぶ治療になる場合、通院のたびの時間と交通費も実質的には費用の一部です。なお通院の頻度は医院の方式によって差があり、来院を最低1回※からとしている方式もあります。
※通院回数は治療内容・個人の状態により異なります
よくある質問
マウスピース矯正がいちばん安いなら、それを選べばいいのでは?
金額だけを見ればそうなりますが、対応できる程度が軽度〜中度に限られます。
受け口には、歯の傾きが原因のものと、顎の骨の位置が原因のものがあります。骨格に原因がある場合、歯を動かす治療では対応する範囲を超えます。安いという理由で適応外の方法を選ぶと、望んだ状態にならないまま費用と時間を使うことになります。
どのタイプなら対応できるかは反対咬合はマウスピース矯正で治る?3つのタイプと対応できる範囲で整理しています。まず自分がどのタイプかを知ることが、費用を考えるより先です。
保険が使えるかどうかは、いつ分かりますか?
検査を受けて診断が出た段階です。顎変形症と診断され、手術が必要と判断されて初めて保険の枠に入ります。カウンセリングの時点で見込みを聞くことはできますが、確定するのは精密検査のあとになります。
外科矯正の費用に手術代は含まれますか?
医院や病院によって扱いが異なります。外科的矯正治療は、手術を口腔外科が担当し、その前後の矯正を矯正歯科が担当する形になるため、費用も分かれていることがあります。術前矯正・手術・入院・術後矯正・保定のそれぞれについて、誰にいくら支払うのかを確認してください。
医療費控除は受け口の矯正でも使えますか?
治療の目的によって判断されます。噛み合わせの改善など機能上の理由による治療は対象になり得るとされていますが、見た目を整えることが目的の場合は扱いが異なります。診断書の要否も含め、税務署または国税庁の案内で確認してください。
まとめ
受け口の矯正費用は、治療法ごとの目安としてはマウスピース矯正が30万〜100万円、ワイヤー矯正が60万〜170万円、外科的矯正治療が自由診療で140万〜400万円です。
ただし桁を決めているのは治療法ではなく、保険が使えるかどうかです。外科的矯正治療でも保険が適用されれば50万〜65万円となり、ワイヤー矯正を自由診療で受けるより低くなることがあります。同じ外科矯正でも、自由診療と保険適用では3倍から6倍の差が出ます。
ただし保険が適用されるのは、顎変形症と診断され、手術が必要と判断された場合に限られます。適応で決まるものであって、希望では選べません。
そして外科的矯正治療は顎の骨を移動させる手術をともない、入院や回復の期間も要ります。費用の安さを理由に選ぶ治療ではありません。
順序としては、まず検査を受けて自分がどの枠に入るかを確認すること。保険での治療を考えているなら、相談先が「顎診」の届出施設かどうかを地方厚生局のホームページで自分で調べられます。
検査とカウンセリングを無料で受けられる医院であれば、費用をかけずにその確認から始められます。