歯の矯正を調べ始めると、期間・費用・装置・痛み・後戻りと、覚えることが次々に出てきます。ひとつずつ読んでも、繋がりが見えないまま情報だけが増えていきます。
このページでは、仕組みをひとつだけ押さえます。そこから、他の話がほとんど導けます。
矯正がしているのは、歯を骨の中で移動させること
歯は、歯ぐきに刺さっているわけではありません。歯槽骨という骨に埋まっています。
公開されている解説では、こう説明されています。
「歯科矯正では『歯槽骨(しそうこつ)』という、骨に埋まっている歯に対して力をかけて、少しずつ動かしていきます」
つまり矯正は、歯を引っ張り出して差し替えているのではなく、骨のほうを作り替えながら、歯をその中で移動させている治療です。
押さえるのはこれだけです。ここから先は、この一点の帰結になります。
この1点から、矯正の性質が出てくる
| よく言われること | 仕組みから見ると |
|---|---|
| 時間がかかる | 骨の作り替えに時間が要る。速く動かすことができない |
| 痛みや違和感がある | 力をかけている最中だから |
| 装置を外しても終わりではない | 新しい位置で骨が落ち着くまで、まだ時間が要る |
| 自分では動かせない | 弱い力を長く、が条件。強い力を短時間かけても同じにならない |
| 途中でやめると中途半端になる | 移動の途中で止まるだけで、元には戻らない |
別々の注意点に見えていたものが、同じ理由から出ています。
だから「早く」も「自力で」も効かない
速さに上限があることは、数値としても示されています。公開されている解説では「1ヶ月の移動距離は物理的に最大1mmほど」とされています。
無理に速く動かそうとすれば、歯を支えている骨や歯の根を傷めます。期間は装置の性能ではなく、動かす距離で決まるということでもあります。この関係は歯の矯正期間は何で決まる?1ヶ月に動くのは最大1mmという上限で扱っています。
自力で動かすことについても、はっきりした記載があります。
「歯を自分で動かして歯並びを整えるのは、基本的に不可能です」
理由は、「一日数分歯を押す程度では効果はなく、歯に無理な力をかけることで歯がぐらつく、歯茎が下がるなどのリスクがある」とされています。
矯正が成立している条件は「弱い力を長時間」です。 強い力を短時間かけても、同じことは起きません。起きるのは、支えている組織が傷むことのほうです。
なお、同じ解説では「これ以上悪化させないために生活習慣を見直すことはできる」とも書かれています。動かすことはできないが、悪化に関わる要因には手が届く、という区別になります。
動かしたあとが、もう半分ある
骨を作り替えながら移動させたということは、移動し終えた時点では、新しい位置の骨がまだ落ち着いていないということです。
だから装置を外したあとに保定期間があります。目安は動かしていた期間と同じくらいとされているため、装置を外した時点は折り返しにあたります。
後戻りを起こす力の中身はリテーナーはなぜ必要?後戻りを起こす2つの力と種類の選び方で、治療全体の流れの中でどこに位置するかは歯科矯正の流れを「いつまで引き返せるか」で見る|装置を外して終わりではないで扱っています。
何が決まると、治療の中身が決まるのか
仕組みが同じである以上、治療ごとに違ってくるのは動かす距離と方向です。
そこから、次が決まります。
装置——必要な移動の量と方向で、使えるものが決まります。希望では選べません(歯科矯正でマウスピースを選べるのはどんなとき?装置の決まり方を解説)。
期間——距離を、1ヶ月あたりに動かせる量で割ったものが下敷きになります。
費用——装置と範囲で変わります(歯列矯正の費用は装置で決まる|価格差の理由と、表示価格に入らない調整料)。
つまり、検査で距離が分かるまでは、どれも確定しません。見積もりや期間の話が検査のあとになるのは、そのためです。
通院先を大宮周辺で検討する場合は、通いやすさも判断材料になります。年単位で通うことになるため、実際的な条件です。なお通院の頻度は医院の方式によって差があり、来院を最低1回※からとしている方式もあります。
※通院回数は治療内容・個人の状態により異なります
よくある質問
大人になってからでも歯は動きますか?
動きます。骨の作り替えは大人でも起きています。
ただし成長期のほうが動きやすいとされており、成長を利用する方法は大人では選べません。使える手の種類が変わる、という違いになります。
痛みはずっと続きますか?
力をかけた直後に強く出て、次第に落ち着くという出方が一般的とされています。動かしている最中の反応なので、調整のたびに繰り返されます。
痛みの強さには個人差があります。がまんできない場合は、担当している医院に伝えてください。力の量を調整できることがあります。
歯を動かすと、歯や骨は弱くなりませんか?
適切な力の範囲で行われる限り、骨は作り替えられて安定します。問題になるのは力が強すぎる場合で、歯の根が短くなる、歯ぐきが下がるといったことが起こりえます。
自己流で押すことが勧められないのは、この力の管理ができないためです。
一度矯正すれば、ずっとそのままですか?
そうとは限りません。歯は生涯にわたって少しずつ動きます。保定を行っても、年月の経過による変化はありえます。
動かした結果を保つには、続ける作業があるという前提で考えておくほうが実際に近くなります。
まとめ
歯の矯正がしているのは、歯槽骨という骨に埋まっている歯に力をかけ、骨を作り替えながら、その中で歯を移動させることです。
この一点から、よく言われることの大半が導けます。時間がかかるのは骨の作り替えに時間が要るから、痛みが出るのは力をかけているから、装置を外しても終わりではないのは新しい位置の骨がまだ落ち着いていないから、自分では動かせないのは「弱い力を長時間」という条件を満たせないからです。
速さには上限があり、「1ヶ月の移動距離は物理的に最大1mmほど」とされています。無理に速くすれば、支えている骨や歯の根を傷めます。
そして治療ごとに違ってくるのは、動かす距離と方向だけです。そこから装置・期間・費用が決まるため、検査で距離が分かるまでは、どれも確定しません。
自分の場合に何をどれだけ動かすことになるのかは、検査を受ければ分かります。検査とカウンセリングを無料で受けられる医院であれば、費用をかけずにそこから始められます。