「その出っ歯、かわいいよ」と言われた。悪い気はしないけれど、治したい気持ちもある。どうすればいいのか決められない。
あるいは、自分の前歯が気になっていて、「かわいい」と言われる範囲なのかを知りたい。
どちらの方にも読めるように書きます。
先にひとつだけ。このページでは、どういう見た目が良いか悪いかは書きません。書けることではありませんし、それは判断の材料になりにくいからです。
「かわいい」は他人の評価軸で、治療の判断軸ではない
「かわいい」という言葉は、その人がどう受け取ったかを表しています。
受け取り方は、相手によって違います。時代によっても変わります。同じ歯並びが、ある場では魅力として語られ、別の場では指摘の対象になることがあります。
つまり動く軸です。動く軸を基準にすると、言われるたびに判断が揺れます。
一方で、動かないものがあります。前歯がどれだけ前に出ているかという数値と、自分がそれをどう感じているかです。
治療するかどうかの判断は、この2つで組み立てられます。
判断に使える2つの軸
| 軸 | 見るもの | 誰が決めるか |
|---|---|---|
| ① 機能 | 噛む・閉じる・傷つきやすさに関わる問題があるか | 検査で分かる |
| ② 自分の希望 | 自分が気にしているかどうか | 本人が決める |
「他人がどう言うか」は、このどちらでもありません。第三の軸で、①にも②にも影響しません。
言われて嬉しかったのなら、それは②の側に材料が増えたということです。気にしていないなら治療しない、という判断は正当です。
一方、①は本人の気持ちとは独立に存在します。「かわいい」と言われることと、前歯が何mm出ているかは、別々に成り立ちます。
前歯の出方は数値で測られます。目安となる数値と、その読み方は出っ歯はマウスピース矯正で治せる?適応を分けるのは「下げる場所」があるかで扱っています。
①の側で、何が確認されるのか
機能の軸では、次のような点が見られます。公開されている解説で挙げられているものです。
- 前歯で食べ物を噛み切りにくいことがある
- 唇が閉じにくく、口の中が乾燥しやすい。唾液には口の中の細菌を洗い流す働きがあるため、乾燥すると細菌が繁殖しやすくなる
- 転倒などの際に前歯を折りやすい
これらは見た目とは別の話です。「かわいい」と言われる歯並びに、これらが伴っていることもあります。逆に、気にしている歯並びでも機能上の問題がないこともあります。
噛み合わせは歯並びとは別の軸で見られます。その分類は噛み合わせは矯正で治せる?「歯並び」とは別の軸で見る7つのタイプで扱っています。
治療しないという選択について
正直に書いておきます。治療しないという判断は、十分に成り立ちます。
②が「気にしていない」であり、①でも問題が見つからなければ、動かす理由がありません。矯正は年単位の時間と費用がかかる治療です。必要がないなら、しないほうがいいという考え方は筋が通っています。
ただし、確認しておくと後で困りにくい点があります。
①は自分では分かりません。 噛み切りにくさや乾燥のしやすさは、その状態に慣れていると自覚しにくいものです。検査を受けて「機能上の問題はない」と分かったうえで治療しないのと、確認しないまま治療しないのとでは、同じ選択でも中身が違います。
もうひとつ。②は変わることがあります。 今は気にしていなくても、環境が変わって気になり始めることがあります。そのとき、歯並びは基本的にそこにあります。急ぐ必要はありませんが、選択肢がどれだけあるかを知っておくと、そのときの判断が早くなります。
治療を受けた人が「思っていたのと違う」と感じる仕組みは「矯正でブサイクになった」という話はなぜ広まる?3つの成り立ちと、予想とのずれを防ぐ方法で扱っています。気になっていないのに周りに言われて治すという進み方は、ここでずれが出やすい形です。
通院先を大宮周辺で検討する場合は、通いやすさも判断材料になります。なお通院の頻度は医院の方式によって差があり、来院を最低1回※からとしている方式もあります。
※通院回数は治療内容・個人の状態により異なります
よくある質問
少しだけ引っ込めて、雰囲気は残せますか?
動かす量を計画で決めることはできます。ただし「雰囲気」は数値ではないため、そのまま伝えても計画には落ちません。
「何mm下げる計画か」を確認したうえで、その量が自分の望む変化と合っているかを見るほうが確実です。並べることと下げることは別の治療である点は出っ歯は部分矯正で治せる?「並べる」と「下げる」は別の治療で扱っています。
家族にすすめられていますが、自分は気にしていません
②の軸は本人のものです。すすめられたことは、②が動いた理由にはなりません。
一方、①は独立に存在します。機能上の問題があるかどうかだけ確認して、そのうえで治療しないという結論を出すのは、両方に応える形になります。
子どもの場合も同じ考え方でいいですか?
成長期は事情が変わります。あごの成長に働きかける方法が選択肢に入る時期があり、時期によって取れる手が違うためです。
②の軸を本人が持てるとは限らない年齢では、①の側の確認がより重要になります。
治療すると印象が変わりすぎませんか?
変化には方向と量があります。量は計画で決まるので、事前に確認できます。
心配であれば「何mm動かすのか」と「その状態がどう見える見込みか」を聞いてください。「かわいさが失われるか」という聞き方では、答えが返ってきません。
まとめ
「かわいい出っ歯」と言われて迷っている場合、その言葉は判断の軸になりにくいです。受け取り方は相手や場面によって変わる、動く軸だからです。
判断に使えるのは2つです。①機能上の問題があるか(検査で分かる)と、②自分が気にしているか(本人が決める)。他人がどう言うかは、このどちらでもありません。
①の側では、前歯で噛み切りにくいこと、唇が閉じにくく口の中が乾燥しやすいこと、転倒などの際に前歯を折りやすいことが挙げられています。これらは見た目とは独立に存在します。
治療しないという判断は十分に成り立ちます。 ②が「気にしていない」で①にも問題がなければ、動かす理由がありません。
ただし①は自分では分かりません。確認したうえで治療しないのと、確認しないまま治療しないのとでは、同じ選択でも中身が違います。そして②は変わることがあるので、選択肢を知っておくと後の判断が早くなります。
検査とカウンセリングを無料で受けられる医院であれば、費用をかけずに①の確認だけを行うことができます。治療を決めなくても構いません。