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噛み合わせが深いとマウスピース矯正は難しい?縦方向の動きと期間の関係

歯科で「噛み合わせが深いですね」と言われた。あるいは「過蓋咬合(かがいこうごう)です」と説明された。

ただ、鏡で正面から見ても歯並びは整っているように見える。ガタガタしているわけでも、前に出ているわけでもない。何が問題なのか、実感が持てないという方は多いと思います。

この状態は、縦方向の重なりの話です。歯並びを横から見たときの前後関係ではなく、上下の前歯がどれだけ深く噛み合っているかを指しています。

そして治療には、他の歯並びとは動かす方向が違うという特徴があります。この違いが、マウスピース矯正との相性にも、治療期間にも関わってきます。

目次

「深い」は縦方向の話

歯科では、上の前歯が下の前歯を縦方向にどれだけ覆っているかを、オーバーバイトという値で表します。

永久歯が生えそろった状態では、正常な範囲は0〜4mm程度と報告されています。これを超えて深く覆っている状態を過蓋咬合、逆に前歯が噛み合わない状態を開咬と呼びます。

ただし、この基準には幅があります。「2〜3mm以内」とする記述もあり、数値だけで一律に線を引けるものではありません。噛み合わせ全体の状態とあわせて判断されます。

深い場合、下の前歯が上の前歯にほとんど隠れて見えなくなることがあります。笑ったときに下の歯が見えない、といった形で気づかれることもあります。

出っ歯とは別の指標

ここで区別しておきたいことがあります。

出っ歯の程度を表すのは、オーバージェットという値です。こちらは上下の前歯が水平方向にどれだけ離れているかを測ります。

つまり、

  • オーバージェット = 前後(横方向)の距離
  • オーバーバイト = 上下の重なり(縦方向)の量

名前が似ているため混同されやすいのですが、測っている方向が違います。そして両方を併せ持つこともあります。前に出ていて、かつ深く噛み合っている、という状態です。

オーバージェットの見方については出っ歯はマウスピース矯正で治せる?適応を分けるのは「下げる場所」があるかで取り上げています。

深いままだと起こり得ること

見た目に大きな違和感がないため、何が問題なのか分かりにくい状態です。指摘されることがある点を挙げておきます。

下の前歯が上の歯ぐきに当たる。覆いが深いと、噛んだときに下の前歯の先が上の前歯の裏側や歯ぐきに接触することがあります。

奥歯に負担がかかりやすい。前歯の噛み合わせが深いと、顎を動かしたときの力の逃げ方が変わり、奥歯にかかる負担が増えることがあります。

前歯が擦り減ることがある。上下の前歯が強く接触する状態が続くと、接触面が摩耗することがあります。

ただし、これらの程度には個人差があります。深い噛み合わせでも、日常で不便を感じずに過ごしている方は多くいます。当てはまるから治療が必要、というものではありません。判断材料のひとつとして知っておくという位置づけです。

治療で必要なのは「縦方向の動き」

ここが、他の歯並びとの大きな違いです。

出っ歯や口ゴボの治療では、前歯を後ろに下げることが中心になります。動かす方向は前後です。

一方、深い噛み合わせの治療で必要になるのは、縦方向の動きです。主に次の3つが使われます。

圧下。歯を歯ぐきの中へ押し込む方向に動かします。深く覆っている前歯を沈めることで、重なりを浅くします。

挺出。圧下の逆で、歯を引き出す方向に動かします。奥歯を挺出させることで、前歯の重なりを相対的に浅くする考え方です。

傾斜移動。歯に角度をつけて、当たり方を変えます。

つまり、「引っ込める」のではなく「沈める・引き出す」という発想になります。対処の方向がまるで違うということです。

見た目の変化の割に、期間が長くなりやすい

これは、事前に知っておくと落差を防げる点です。

圧下は時間のかかる動きとされています。 歯を歯ぐきの中へ押し込む動きは、前後に傾ける動きより難度が高く、少しずつしか進みません。

そして過蓋咬合は、もともと正面から見た歯並びが整っていることが多い状態です。すると、治療が進んでも正面から見た印象があまり変わりません

この2つが重なると、こういうことが起こります。期間は長いのに、変化の実感が持ちにくい。 治療中に「本当に進んでいるのか」と不安になりやすい類型だといえます。

期間が長くなることには、費用面の影響もあります。調整のたびに費用がかかる方式であれば、その分が積み上がります。この点は歯列矯正の費用は装置で決まる|価格差の理由と、表示価格に入らない調整料で取り上げています。

始める前に、どのくらいの期間を見込んでいるのかを具体的に聞いておくことをおすすめします。

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マウスピース矯正との相性

正直にお伝えすると、深い噛み合わせはマウスピース矯正が得意とする領域ではありません

理由があります。マウスピース矯正は、構造上どうしても奥歯が沈む方向に力がかかりやすいとされています。装置が歯列全体を覆い、噛む力がその上からかかるためです。

ところが過蓋咬合の治療では、多くの場合奥歯を沈めたくありません。むしろ奥歯を引き出す(挺出させる)ことで前歯の重なりを浅くしたい場面があります。装置の性質と、治療で必要な動きの向きが逆になることがあるわけです。

そのため、比較的軽度であれば対応できる一方、程度が大きい場合はワイヤー矯正のほうが対応しやすいとされています。ワイヤー矯正は装置が歯に固定されるため、個々の歯に狙った方向の力をかけやすいという特徴があります。

装置は見た目の好みではなく、必要な移動量と方向によって決まります。この考え方は歯科矯正でマウスピースを選べるのはどんなとき?装置の決まり方を解説で説明しています。

バイトランプという対処

装置側の工夫もあります。

バイトランプと呼ばれる突起を、マウスピースの上の前歯の裏側にあたる部分に付ける方法です。噛んだときに下の前歯がこの突起に当たることで、奥歯が深く噛み合うのを防ぎます

こうした工夫によって対応できる範囲は広がっています。ただし、それでも限りはあります。工夫があることと、どんな症例でも対応できることは別の話です。

自分の程度で対応できるかどうかは、検査を受けて判断されることになります。

難しいと言われた場合の選択肢

マウスピース矯正では難しいと判断された場合も、方法がなくなるわけではありません。

ワイヤー矯正。装置が固定されるため、縦方向の動きも含めて狙った力をかけやすくなります。

併用や切り替え。難しい動きの部分をワイヤーで進め、その後の調整をマウスピースで行う組み合わせもあります。

骨格が関わる場合。顎の位置関係が原因になっている場合には、外科的な処置を含む方法が検討されることもあります。

大切なのは、難しいと言われた理由まで聞いておくことです。移動量が大きいからなのか、必要な動きの方向によるものなのか、骨格が関わるのか。理由が分かれば次の判断ができます。この考え方は部分矯正ができない例とは?断られる理由と言われたあとの選択肢で整理しています。

相談時に確認したいこと

カウンセリングでは、次の点を聞いておくと判断しやすくなります。

自分のオーバーバイトの数値。程度を共通の尺度で把握できます。

必要な動きの種類。圧下が中心なのか、挺出なのか、傾斜移動なのか。

期間の見込み。前述のとおり長くなりやすいため、具体的に聞いておきます。

マウスピース矯正で対応できるか、その根拠。難しい場合は理由も含めて。

保定の計画。深い噛み合わせは戻りやすいとされる面もあるため、治療後の計画も聞いておくと安心です。保定の考え方はリテーナーはなぜ必要?後戻りを起こす2つの力と種類の選び方で説明しています。

精密検査やカウンセリングを無料としている医院であれば、費用をかけずにここまで確認できます。

通院先を大宮周辺で検討する場合は、通いやすさも判断材料になります。期間が長くなりやすい治療であればなおさらです。なお通院の頻度は医院の方式によって差があり、来院を最低1回※からとしている方式もあります。

※通院回数は治療内容・個人の状態により異なります

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よくある質問

見た目が気にならなければ治療しなくていいですか?

不便を感じずに過ごしている方は多くいます。ただし、下の前歯が歯ぐきに当たる、奥歯に負担がかかるといった点が指摘されることはあります。程度と、実際に何か起きているかを診てもらったうえで、治療するかどうかを判断するのが現実的です。定期的に確認しながら様子を見るという選択もあります。

何ミリから過蓋咬合になりますか?

永久歯列では0〜4mm程度が正常範囲と報告されていますが、基準には幅があります。数値だけで決まるものではなく、噛み合わせ全体の状態とあわせて判断されます。自分の数値は検査を受けると分かります。

治療期間はどのくらいかかりますか?

必要な移動量によりますが、縦方向の動きは時間がかかる傾向があります。他の歯並びに比べて、見た目の変化の割に期間が長くなることがあります。具体的な見込みは検査後に示されるため、始める前に確認してください(いずれも後戻りを防ぐ保定期間は別です)。

出っ歯と深い噛み合わせの両方がある場合はどうなりますか?

前後方向と縦方向の両方を動かす計画になります。動かす量も方向も増えるため、期間や適応の判断はより慎重になります。どちらを優先するか、同時に進めるかも含めて、計画の説明を受けておいてください。

まとめ

「噛み合わせが深い」は、上の前歯が下の前歯を縦方向に覆いすぎている状態です。オーバーバイトという値で表され、永久歯列では0〜4mm程度が正常範囲と報告されています(基準には幅があります)。出っ歯の指標であるオーバージェットとは、測っている方向が違います

治療で必要になるのは、前後ではなく縦方向の動きです。歯を沈める圧下、引き出す挺出、角度をつける傾斜移動が使われます。

そして知っておきたいのが、見た目の変化の割に期間が長くなりやすいことです。圧下は時間のかかる動きであり、もともと正面から見た歯並びが整っていることが多いため、進んでいる実感が持ちにくくなります。

マウスピース矯正との相性については、正直なところ得意な領域ではありません。装置の構造上、奥歯が沈む方向に力がかかりやすく、治療で必要な動きと向きが逆になることがあるためです。軽度であれば対応でき、バイトランプのような工夫もありますが、程度が大きい場合はワイヤー矯正のほうが対応しやすいとされています。

自分の程度で対応できるかどうかは、検査を受けて初めて分かります。検査とカウンセリングを無料で受けられる医院であれば、費用をかけずに確かめるところから始められます。

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