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八重歯の矯正で抜くのは八重歯ではない|犬歯の役割とスペース不足という原因

八重歯を治したいと考えたとき、多くの方がまず思い浮かべるのは「この歯を抜けば早いのでは」という発想だと思います。1本だけ飛び出しているのだから、それを取れば並びは整うように見えます。

ところが実際の矯正治療では、その逆のことが行われます。抜くとしたら、八重歯そのものではなく別の歯です。

なぜそうなるのか。理由は、八重歯になっている歯が噛み合わせの中で役割を担っているからです。そして原因も、その歯自体にあるわけではありません。

ここでは、八重歯ができる仕組みと、治療で何が行われるのかを整理します。

目次

「八重歯」という歯はない

まず言葉の整理からです。

犬歯は歯の名前です。前歯から数えて3番目、少し尖った形をした歯を指します。

八重歯は、歯並びの状態を表す言葉です。犬歯が歯列から外れて、外側や上側に飛び出している状態を指します。

つまり、八重歯という種類の歯があるわけではありません。犬歯が本来の位置に収まっていない状態を、そう呼んでいるということです。

この区別がつくと、次の話が理解しやすくなります。飛び出しているのは余分な歯ではなく、必要な歯が置き場所を失っている状態だからです。

八重歯になるのは「犬歯が最後に生えてくる」から

では、なぜ犬歯だけが押し出されるのか。答えは、生えかわりの順序にあります。

永久歯への生えかわりは6歳前後から始まります。まず前歯と、その奥の第一大臼歯が出てきます。

そのあと、犬歯の奥にある第一小臼歯や第二小臼歯が、犬歯よりも先に生えかわることが比較的多いとされています。

すると、犬歯の番が回ってくる頃には、両隣がすでに埋まっていることになります。残されたスペースが犬歯の幅より狭ければ、列の中に入れず、外へ出るしかありません。

ここが要点です。原因は犬歯の側にあるのではなく、そもそもスペースが足りないことにあります。顎の大きさと歯の大きさの関係で、並べるだけの幅が確保できていない状態です。

犬歯は、たまたま最後に来たために行き場を失った歯だということになります。

犬歯には噛み合わせ上の役割がある

もうひとつ知っておきたいのが、犬歯が担っている働きです。

犬歯は歯根が長く、丈夫な歯とされています。そして食物を切り裂く働きのほか、顎を横に動かしたときに他の歯を守る役割を持ちます。

上下の歯を噛み合わせた状態から顎を左右に動かすと、犬歯どうしが接触して、奥歯が擦れ合わないように誘導します。これを犬歯誘導と呼びます。

この誘導が働きにくいと、前歯や奥歯に本来想定されていない力がかかりやすくなるとされています。奥歯は上下に噛む力には強い一方、横方向に擦れる動きには向いていないためです。

だからこそ、犬歯は温存を前提に治療計画が立てられます。単に「歯は大事に」という話ではなく、機能の面で置き換えのきかない歯だということです。

だから、抜くのは八重歯ではない

ここまでをつなぐと、冒頭の答えになります。

八重歯の矯正でスペースを作るために抜歯する場合、選ばれるのは犬歯の奥にある第一小臼歯や第二小臼歯であることが多く、犬歯そのものを抜くケースはほとんどないとされています。

小臼歯を抜いてできた空間へ、外に出ていた犬歯を移動させて並べる。これが基本的な考え方です。

つまり治療の中身は、「出っ張っている歯を取り除く」ではなく、「その歯を本来の場所に戻すために、場所を作る」ということになります。読者の直感とは逆向きの発想です。

このように理解すると、なぜ八重歯の矯正が単純な処置で終わらないのかも見えてきます。1本抜いて終わりではなく、空いた空間を使って複数の歯を動かしていく計画になるためです。

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場所の作り方は3通り

スペースを確保する方法には、いくつかの選択肢があります。

歯を抜く。小臼歯を1本抜けば、まとまった空間ができます。不足量が大きい場合に選ばれます。

歯の側面をわずかに削る。1か所あたりの量は小さいため、少しの不足に対応する方法です。

奥歯を後方へ動かす。歯列の後ろ側に余地があれば取れる方法です。

それぞれで得られる量には大きな差があります。目安は出っ歯は部分矯正で治せる?「並べる」と「下げる」は別の治療の表で整理しています。

八重歯の場合、犬歯1本ぶんの幅が丸ごと不足している状態も珍しくありません。その場合、削って作れる量では届かず、抜歯を含む方法が選択肢に入ってきます。抜歯の要否がどう判断されるかは口ゴボは矯正で治る?原因のタイプ別に治療法と抜歯の要否を解説で取り上げています。

なお、成長期であれば顎の発育を利用して、そもそもスペースを確保するという対応が取れる場合もあります。適する時期や方法は状態によって異なります。

範囲を絞る治療とは相性が良くない

「八重歯の1本だけが気になるのだから、前歯だけの矯正で足りるのでは」と考える方もいます。

ただ、ここまで見てきたとおり、八重歯はスペース不足の結果です。並べるには場所を作る必要があり、前歯の範囲だけでは確保できる量が限られます。

範囲を絞った治療は、動かす量が小さい場合には有効です。しかし犬歯1本ぶんに近い不足がある場合、届かないことがあります。難しいと判断された場合の考え方は部分矯正ができない例とは?断られる理由と言われたあとの選択肢で整理しています。

治療しないという選択について

八重歯については、見た目の受け取られ方が分かれます。特徴として好ましく感じる人もいれば、気にしている人もいます。どう感じるかは本人次第であり、治療するかどうかも本人が決めることです。

そのうえで、知っておくと判断材料になる点があります。

重なった部分は磨きにくい。歯が重なっていると歯ブラシが届きにくい面ができ、汚れが残りやすくなります。清掃の方法を工夫する余地があります。

犬歯誘導が働きにくい場合がある。犬歯が本来の位置にないと、前述の誘導の役割を果たしにくくなることがあります。

ただし、これらの程度には個人差があり、不便を感じずに過ごしている方も多くいます。当てはまるから治療しなければならない、というものではありません。判断材料として知っておくという位置づけです。

相談時に確認したいこと

カウンセリングでは、次の点を聞いておくと判断しやすくなります。

どのくらいスペースが不足しているか。数値で示してもらえると、方法の見当がつきます。

その場所をどう作る計画か。抜歯を含むのか、削るのか、奥歯を動かすのか。

抜歯するとしたらどの歯か。八重歯そのものではなく別の歯になる理由もあわせて聞いておくと納得しやすくなります。

期間と総額。装置の料金だけでなく、検査費や保定装置まで含めた金額です。内訳の見方はマウスピース矯正の値段はいくら?相場と内訳、総額の見方を解説で整理しています。

精密検査やカウンセリングを無料としている医院であれば、費用をかけずにここまで確認できます。治療するかを決める前に、必要なことだけ知るという使い方ができます。

通院先を大宮周辺で検討する場合は、通いやすさも判断材料になります。治療が年単位に及ぶ場合はなおさらです。なお通院の頻度は医院の方式によって差があり、来院を最低1回※からとしている方式もあります。

※通院回数は治療内容・個人の状態により異なります

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よくある質問

八重歯だけを抜くことはできますか?

処置として不可能というわけではありませんが、矯正治療では一般的な方法ではありません。犬歯は歯根が長く、顎を横に動かしたときに他の歯を守る役割を担うとされているためです。抜歯が必要な場合は、その奥にある小臼歯が選ばれることが多くなります。

大人になってからでも治療できますか?

成人でも矯正治療は可能です。成長期であれば顎の発育を利用してスペースを確保する対応が取れますが、成長が止まったあとは、歯を動かす、あるいは抜歯でスペースを作るという方法が中心になります。年齢そのものより、不足しているスペースの量が判断の基準になります。

抜歯しないで治せますか?

不足しているスペースの量によります。少なければ、歯の側面をわずかに削る方法や奥歯を後方に動かす方法で対応できることがあります。犬歯1本ぶんに近い不足がある場合は、抜歯を含む方法が提案されることもあります。判断は精密検査の結果によります。

治療期間はどのくらいかかりますか?

動かす範囲と移動量によって変わります。八重歯の場合、空いた空間へ犬歯を移動させる工程が入るため、年単位になることが一般的です(後戻りを防ぐ保定期間を除く)。具体的な見通しは検査後に示されます。

まとめ

八重歯は歯の名前ではなく、犬歯が歯列から外れている状態を指す言葉です。

原因は犬歯そのものではなく、スペース不足にあります。永久歯の生えかわりでは、犬歯の奥にある小臼歯が先に生えかわることが比較的多く、遅れて出てくる犬歯は場所が残っていなければ外に出るしかないという順序の問題です。

犬歯は歯根が長く、顎を横に動かしたときに他の歯を守る役割を担うとされています。この働きがあるため、矯正で抜歯するとしても選ばれるのは犬歯の奥の小臼歯であり、犬歯そのものを抜くケースはほとんどありません。

治療の中身は「飛び出した歯を取り除く」ではなく、「その歯を本来の場所に戻すために場所を作る」ことになります。作り方には抜歯・削る・奥歯を動かすという選択肢があり、不足量によってどれが適するかが変わります。

治療するかどうかは本人が決めることです。そのうえで、必要なスペースの量と作り方は検査を受けて初めて分かります。検査とカウンセリングを無料で受けられる医院であれば、費用をかけずに確かめるところから始められます。

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