矯正はしたい。ただ相場を見ると、簡単に出せる金額ではない。そこで「安い」で検索する。自然な流れだと思います。
ところが調べ始めると、比べているうちに何が安いのか分からなくなります。表示価格が低い医院を見つけても、別のページには「追加費用に注意」と書いてある。安さの根拠がつかめないまま、決められない状態が続きます。
原因は、「安い」という言葉が3つの違うものを指していることにあります。そして安さには理由があり、その理由によって受け入れてよいかどうかが変わります。
ここでは、安さを分類する枠組みを整理します。
「安い」には3種類ある
まず、何が安いのかを分けます。
| 何が安いのか | 意味 |
|---|---|
| 表示価格が安い | 最初に目に入る数字が低い |
| 総額が安い | 治療が終わるまでに支払う合計が低い |
| 目的に対して安い | 望む状態に届いたうえでの金額が低い |
表示価格が安いというのは、比較の入口にすぎません。表示に含まれる範囲は医院によって違うため、この数字だけでは何も判断できません。
総額が安いは、含まれる範囲をそろえて比べた結果です。ここまで来ると比較として成立します。
そして3つ目が重要です。目的に対して安いとは、自分が望む状態に到達したうえでの金額を指します。
届かなければ、いくら安くても高いからです。
安く始めたものの、範囲が足りずに望んだ状態にならなかった場合、支払った金額は目的を果たしていません。極端にいえば、結果が出なければ金額の大小に意味がなくなります。
検索で探しているのは1つ目ですが、判断すべきなのは3つ目です。
安さの正体は4パターンに分かれる
次に、なぜ安いのかを分類します。ここで押さえておきたいのは、安い=品質が低い、ではないということです。安さには構造的な理由があり、理由によって判断が変わります。
① 範囲が狭い
前歯を中心とした範囲だけを動かす方法です。動かす歯が少なければ、装置も期間も少なくて済みます。
これは適応の範囲内であれば、まったく合理的な安さです。奥歯の噛み合わせに問題がなく、前歯の並びだけを整えたいのであれば、全体を動かす必要はありません。
問題になるのは、範囲が足りない場合です。必要な移動量に届かず、あらためて全体矯正をやり直すことになれば、両方の費用がかかります。自分がどちらに当たるかは、必要な移動量によって決まります。この判断については出っ歯は部分矯正で治せる?「並べる」と「下げる」は別の治療で取り上げています。
② 含まれる項目が少ない
表示価格に、精密検査費・調整料・保定装置などが含まれていない場合です。
これは安いのではなく、比較の土俵が違うだけのことがあります。別建ての費用を足すと、含めて表示している医院と総額では変わらない、という結果になり得ます。
何が含まれるかの見方はマウスピース矯正の値段はいくら?相場と内訳、総額の見方を解説で、装置ごとの費用構造は歯列矯正の費用は装置で決まる|価格差の理由と、表示価格に入らない調整料で整理しています。
③ 工程や通院を減らしている
全期間分の装置を事前に製作しておくなど、進め方を工夫することで通院と調整の回数を減らしている場合です。
これもトレードオフを承知していれば合理的です。ただし通院が減るということは、経過を確認する機会が減るということでもあります。減った分をどう補うのかを確認したうえで選ぶ形になります。
④ 条件つきの割引
モニター制度など、一定の条件と引き換えに費用が抑えられる仕組みです。
こちらは条件の中身を確認することが要点になります。撮影の範囲、公開のされ方、途中で続けられなくなった場合の扱い。契約の内容によって負担が変わります。仕組みについては矯正のモニターとは?安くなる仕組みと契約前に確認したい5つのことで取り上げています。
このように、安さの理由が分かれば、受け入れられるかどうかを自分で判断できます。理由が説明されない安さだけが、注意すべき対象になります。
安さを追った結果、高くなる経路
避けたいのは、安く始めたことで総額が増えるパターンです。主に3つあります。
範囲不足でやり直す。前述のとおり、届かなければ全体矯正が必要になります。最初から全体で組んでいれば1回で済んだ、という結果になります。
適応外なのに始めて中断する。自分の症例に合わない方法で始めると、計画どおりに進まず途中で方針変更になることがあります。それまでに支払った分は戻りません。
保定を軽視して後戻りする。治療は歯を動かす工程で終わりではありません。保定装置の費用を削ったり、装着を怠ったりすると、歯が戻って再治療になることがあります。この仕組みはリテーナーはなぜ必要?後戻りを起こす2つの力と種類の選び方で説明しています。
いずれも共通しているのは、入口の金額だけを見て決めた結果だという点です。
費用を抑える方向で、現実的に取れること
そのうえで、実際に取れる手段を整理します。
適応の範囲内であれば、範囲を絞る。全体を動かす必要がないなら、動かさない選択は合理的です。ただし適応かどうかは検査で判断されます。
検査・カウンセリングが無料の医院で比較する。見積もりを取る段階で費用がかからなければ、複数の医院を比べる負担が減ります。比較すること自体が、費用を抑える手段になります。
総額を書面でもらう。口頭の説明だけでは、後から範囲の認識がずれることがあります。書面があれば比較も確認もしやすくなります。
医療費控除の対象になるか確認する。噛み合わせの改善など機能上の理由による矯正治療は対象になり得るとされています。条件についてはマウスピース矯正の値段はいくら?相場と内訳、総額の見方を解説で取り上げています。
比べるときの手順
最後に、比較の手順を整理します。
総額でそろえる。表示価格ではなく、治療が終わるまでに支払う合計で並べます。
含まれる範囲を書面で確認する。精密検査・調整料・保定装置・再製作・抜歯のそれぞれについて、含まれるか別途かを確認します。
追加費用が発生する条件を聞く。計画どおりに進まなかった場合の扱いです。
望む状態に届くかを確認する。ここが3つ目の「安い」にあたります。その方法で自分の目的が達成できるのか、届かない部分があるならどこか。
この4点をそろえて初めて、安いかどうかを判断できる状態になります。
通院先を大宮周辺で検討する場合は、通いやすさも判断材料になります。通院のたびの交通費と時間も、実質的には費用の一部です。なお通院の頻度は医院の方式によって差があり、来院を最低1回※からとしている方式もあります。
※通院回数は治療内容・個人の状態により異なります
よくある質問
安い医院は品質が低いのですか?
安さの理由によります。範囲を絞っている、工程を効率化している、といった構造的な理由であれば、品質とは別の話です。確認すべきなのは金額の高低ではなく、なぜその金額なのかが説明されるかどうかです。理由が明確であれば、自分に合うかを判断できます。
いちばん安く済ませる方法はどれですか?
表示価格だけで見れば範囲を絞る方法ですが、適応の範囲内であることが前提です。届かなければやり直しになり、結果的に高くつきます。自分の症例で望む状態に到達できる方法の中から比べるのが現実的です。
部分矯正なら安く済みますか?
動かす歯が少ないため、費用も期間も抑えられます。ただし必要な移動量が大きい場合や、歯を後ろに下げる必要がある場合には対応しきれないことがあります。適応かどうかは検査を受けて判断されます。
見積もりは書面でもらえますか?
医院によりますが、依頼すれば対応してもらえることが多くなっています。書面があると比較しやすく、後から範囲の認識がずれることも防げます。カウンセリングの際に聞いてみてください。
まとめ
歯列矯正の「安い」は、表示価格が安い/総額が安い/目的に対して安いの3つに分かれます。検索で探しているのは1つ目ですが、判断すべきなのは3つ目です。望む状態に届かなければ、いくら安くても高いからです。
安さの理由は、範囲が狭い/含まれる項目が少ない/工程や通院を減らしている/条件つきの割引の4パターンに整理できます。安い=品質が低い、ではありません。理由が分かれば、自分が受け入れられるかを判断できます。
注意したいのは、安く始めたことでかえって高くなる経路です。範囲不足でのやり直し、適応外での中断、保定を軽視した後戻り。いずれも入口の金額だけを見て決めた結果として起こります。
比べるときは、総額でそろえ、含まれる範囲を書面で確認し、追加費用の条件を聞き、そしてその方法で自分の目的に届くかを確認してください。
自分の症例で何が必要かは、検査を受けて初めて分かります。検査とカウンセリングを無料で受けられる医院であれば、費用をかけずに比較を進められます。